ECHO-09 -遺されし光-
@DotZonbie3
第1話 残されたひかり
「きこえるかい?」
きみには僕のことが見えているのだろうか。
赤子は、
後ろ手に結ばれていた手に、湿り気のある余韻が伝わり、生まれて間もない命の質量を指の間に残す。
下へと
『左巻きの、僕と同じつむじがふたつ逆巻いている』
そうだ、如何なる形をしていようが、他ならぬわが子だ。
よじれ合った二本の糸状をした、二重螺旋状の。
耳を澄まして聞いておくれ、
最後の
最期まで傍にいてやれないわたしを赦しておくれ。
どうか私の分まで生き抜いてくれ…。
A little later▷▶︎▷▶︎
「誰かいるのかい?」
べっとりと、濃く塗られた闇の中で駆動音だけが響く―。
ひとつ残らず食べ尽くされた光が、高曇りに覆われた夜を本来の色にまで
臍の緒に繋がれたままの、まだ綿も詰め込められていない、人形よりも軽い
灯り一つない
放置された、
声を投げかけた旅人の顔はしだいに青ざめた。
煤けた
『
そう、旅人は心の中で音もなく叫んだ。
唯一、今この世で光を放つのは
胃の腑が、恐怖に燃えるように痛むのを感じ、指先が震え、脱力し、やがて絶望し、色を失った…。
感染し、夢魔化した人々によって、この世界は闇に覆われてしまい、生き残った人々は息を潜め生きることを余儀なくされている。
神明の
廃棄された玩具。踊り子の足。
『疑いようがない、
「・・・にいるよ」
夢魔がいたと思しき方角から声がする。
「本当に…? 本当に、この闇の中に誰かいるのだとしたら、声を聞かせてくれないか」
ここにいるよ。
・・・と、擬態化した
機体が半透明に透けて、
中から暖かく、懐かしい光が漏れ出す。
それは、ECHO-09と表記された赤子から発せられた
「あなたを助けに来たんだよ」
ECHO-09 -遺されし光- @DotZonbie3
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