第31話 フェブラリータウンでのアデリンの日記 4の後半

 モスマンと空を飛んでいたのに、いきなり窓のない地下室に――ワープ? ――していた。

 鍵がかかっていて、閉じ込められているようだった。


 しばらくしたらドアが開いて、円錐形のバケモノが入ってきた。

 アタシはそいつを突き飛ばして逃げた。

 そのときに、あることに気づいたけれど、怖くて自分の体を見下ろすことができなかった。


 キャロラインを探してイーグルスホテルへ走った。

 客室にも食堂にもキャロラインは居らず、厨房で見つけた。

 あの子はアタシを見て、悲鳴を上げた。

 業務用の冷蔵庫のピカピカの扉が、鏡のようにアタシを映した。

 アタシは円錐形のバケモノになっていた。


 声は出るけど人間の言葉を発音できるような喉じゃなくて、キャロラインに逃げられて、追いかけたけど見失った。

 そうこうするうちに町全体がおもちゃのように壊れ始めて、瓦礫の下敷きになって、アタシは自分が“宿っている”肉体が死ぬのを感じた。


 目が覚めたら、辺りに岩しかないような荒野に倒れていて、かたわらでルイーザがアタシを見下ろしていて、アタシの魂はもとの肉体に戻っていた。

 どうやらルイーザが助けてくれたのらしい。

 そのお礼としてルイーザは、アタシにお供をするよう命じてきた。

 子供が一人で旅なんか続けたら、通報されるか誘拐される。

 だからアタシを連れていきたい。


 断れなかった。

 この先に居るモノの力を使えばアランを見つけられると言われた。

 アタシたちはハリウッドへ向かう。

 財布以外の荷物はすべてなくしてしまった。

 たぶんキャロラインも似たような状況。

 あの子はちゃんとイギリスへ帰れるのかしら?

 それよりも今は自分の心配を。


 ルイーザがハリウッドへ行く目的は――

“調べもの”としか教えてくれない。




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