第12話 柴犬のはな 2

 朝になり、アラーム音で目覚めると私はリビングに様子を見に行った。

 リビングでは、ツンとした表情のミィがソファーに座り、台所では55歳くらいの女性が忙しく朝食を作っている。


 驚いたことに、何にも教えていないのに塩鮭にご飯、芋の味噌汁、卵焼きまできれいに調理され机に並んでいる。


 「おはようございます。私ははなといいます。ご飯冷めないうちにどうぞ。」


 「おはよう。昨日の柴犬なの?」

 はなさんは、丁寧にこう言った。

 「はい。拾って頂いてありがとうございます。前の飼い主が小料理屋さんをやっていたんですが、病気で死んでしまって…店の後始末に来た飼い主の親戚が段ボールに入れて私を捨てたの。もう悲しくて悲しくて…。」


 はなさんは目に涙を浮かべてしみじみと話した。

 その後朝食を食べたが本当にやさしい味でどれも美味しかった。

 はなさんは小料理屋さんの看板犬で、いつも飼い主が料理する様子を見ていたため自然と覚えたらしい。


 ミィはというと、塩鮭が美味しいらしくご飯をがっついている。はなさんを使いおかわりまでしている。


 またもや奇妙な生活が始まった。


 

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