第11話 柴犬のはな
私は後ろを振り返り柴犬に向かってしっしっと手で追い払った。
「家には猫がいておまえを飼うことは出来ないんだよ。あっちに行けよ!」
しかし、柴犬はヘッヘッヘッヘッと笑っている。
何度か柴犬を追い払い走って逃げてみたが、無駄だった。
結局諦めて近くの動物病院へ行き、健康状態をみてもらう。健康状態は良好で避妊手術もしてあるらしい。医者に捨て犬だから、ここで預かってもらえないか頼んでみたが、医者の家には何十匹もの犬猫がいてこれ以上は無理だと言われ、里親といっても仔犬ではなくだいぶ年をとってしまっているので、貰い手はなかなか難しいと思うと言われてしまった。
確かに私もミィが子猫だから飼い始めたわけで、もし成猫だったらどうしていたのだろうか…。
とぼとぼと歩いてアパートまで帰る。柴犬は、後ろをついてきている。
ミィは、きっと犬だとわかったら大騒ぎするだろう。
どうしよう…。どうしたらいいんだ。
考えがまとまらないままアパートに着いてしまった。チラッと後ろを見ると柴犬はちゃんとお座りをしているではないか!
はぁぁぁ~深いため息がでる。
家に帰るなりミィの頭は逆立った。
心配していた通りだ。
「キャアアア!!何で犬がいるの?私、家出するよ?噛まれたらどうすんの?信じられない。今すぐ追い出して!」
私は柴犬を受け入れてもらえるよう説得したが、ミィは家出すると姿勢を崩さない。
「…頼むよ。いくら追い払っても駄目なんだ。」
「無理。犬には昔から近づくなと言われてきてるの!あり得ないし。」
「…。」
「もう、出ていくよ。」
「…。」
ミィがドアに向かおうとした時
「わかった。彼女薬を飲ませて人間になったら犬じゃないでしょ?」
咄嗟にそう言っていた。
ミィには、彼女薬を飲ませると犬じゃなくなるんだとわかりやすく説明した。
しばらくしてミィも犬じゃなくなるならとわかってくれた。
ミィの時と同様にして、私は柴犬に彼女薬を飲ませて部屋に入れた。
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