第8話 真っ黒焦げの野菜炒め
帰宅すると、何か焦げ臭い。顔中粉だらけのミィがひょこっと顔をだし手を上げた。
「おかえり」
「ただいま…何か作ってたの?」
「うん、ちょっとね。でももう大丈夫だから!」
何が大丈夫なのか…少なくとも台所は大丈夫ではないことがはっきりとわかる。卵の白身ででろんでろんに机の上に広がっている。何かを作ろうとして諦めた形跡が見てとれた。床は、粉が撒き散らかっていてミィの足跡だらけだ。
「ちょっと大丈夫?すごく散らかっているようだけど…」
「大丈夫!大丈夫!スーツに粉が付くからここから入らないでね!」
私は、仕方なく部屋着に着替えてリビングに行くと机に真っ黒な何かが置いてある。
ご飯はちゃんと炊きたてだ。水加減は、今朝ミィに教えて出掛けたのだ。
「さあ、食べて~!」
満面の笑みで味噌汁を運んできた。
「ミィ、これ真っ黒だよ?」
「そんなことないよ?食べれる大丈夫。」
「そうかな~だいぶ黒い。」
黒い野菜炒めを皿から箸でつまみ口に運ぶ。同時にものすごい刺激と胡椒が口に広がりむせる。
「ゲホゲホ!!」
あわてて水を飲むが、しばらくこの辛さは続き口に残った。
そんな大袈裟なというミィも、真っ黒焦げのの塊を口に運びやはりむせ出した。
私はミィに水の入ったコップを渡して、結局ご飯にふりかけをかけて食べることにした。
ミィもふりかけをかけて食べていたが、味噌汁は熱いのでなかなか飲めずにいた。猫舌なのであろう。
ミィはというと気にする様子もなくのほほんとしている。
予想はしていたが、今まで猫だったのに急に料理なんて出来るわけがない。
気長にやるしかないとその時は思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます