第3話 薬屋 2
店主の話では、彼女薬は1錠1ヶ月効果が続く。病気の時は抗彼女薬を飲ませて動物へ戻し、動物病院へ連れていくこと。避妊、去勢手術を済ませてあること。ご飯は、人間の時は人間のもの、動物の時はペットフードや缶詰めとすること。お風呂は、基本嫌がるので、人間の時は2~3日に一回くらいのペースで入浴させる。あまり強制や無理強いをすると、家出する。等など他にも注意事項もいわれた。
「…このくらいかな?あとは、薬箱の中に説明書書いてあるから読んで。ピンク色の方が彼女薬10錠で1万円。ブルーが抗彼女薬これも同じ1万円で、セット価格で18000円だけどどうする?」
私にそれを信じろというのか?店主のつぶらな瞳がこちらを見る。決してそらさない真っ直ぐな視線だ。
しばらく沈黙が続いた。ヤカンの音だけが店内に響く。
「お客さん、信じてないでしょ?別に買わなくてもいいけど、これは、本当だからね。」
「本当に動物が人間になるんですか?」
「うん、本当だよ。」
「薬を飲ませて動物は具合悪くなったりしない?」
「ならない。大丈夫です。」
「途中でやめたくなったら?」
「抗彼女薬を使いもとに戻せばいい。さあ、どうする?お客さん…」
結局店主の押しに負けて、それを買って店を出る。実はアパートに、赤トラ猫のミィが1匹ペットでいる。2歳くらいのメス猫で、子猫の時に避妊手術済みである。
「ミィに飲ませてみるか…」
この時、大変な生活が始まろうとしていることを私はまだわかっていなかった。
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