第4話 彼女薬説明書

 アパートに帰ると、猫のミィが玄関にお出迎えしている。電気もつけずに暗い部屋の中ミィは私の足首をかんでいつものようにエサを催促する。

 私は、扉を開けてカリカリをお皿に入れる。勢いよくエサを食べるミィは余程お腹が空いているようだ。朝には山盛りにして出たはずなのに、大食漢である。

 私は、コンビニ弁当を食べながら彼女薬の説明書を読み始める。


 本錠剤を1錠エサ等に混ぜて飲ませてください。その後、部屋に布団か座布団を敷いて、脇に下着と服を置いて下さい。一応ペットトイレも用意下さい。一晩部屋に動物だけ寝かせます。翌朝には人間になっています。洋服を着ることはできます。朝になったら、トイレの場所を教えてあげてください。あとは自分でできます。朝ごはんは、本人が食べたいというものをあげましょう。ネギ類とお酒は嫌いですのであげないで下さい。


 私はミィのお皿に彼女薬を滑り込ませ、部屋に布団を敷いて、猫用トイレと薬屋からおまけでもらった女性用の下着と大きなTシャツを布団の脇に畳んで置いた。一応お水も置いておくことにした。独り暮しではあるけれど、3LDKと部屋数が広いため、部屋に困ることはなかった。食べ終わったミィを部屋に入れると戸を閉めた。明日は土曜で仕事も休みだ。私も明日に備えて、風呂に入り早めに寝ることにした。

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