第8話 捜査スタート

次の日の放課後、いつも通り俺と花澤は生徒指導室に集まっていた。

昨日茅野から聞いたことを整理し、何から始めるかを話し合った結果、聞き込みをすることにした。


俺と花澤は放課後に残って部活動をしている人たちに聞き込みを始めた。


最初はサッカー部。サッカー部はどこの学校もイケイケの陽キャの集団ばかりで話しずらい(荻原の考え)、だがそのイケイケの陽キャのサッカー集団の中にも一人くらいは陰キャまでとはいかないが、ぼっちで練習を頑張っているやつもいる。まぁそういうやつは天才でない限りベンチだ。


学校の第一グラウンドにはサッカー部が広々と練習している。だが、グラウンドの端で一人で練習しているやつを荻原は見つけた。荻原の考えでいうイケイケの陽キャグループに属さないような人間だった。

俺は一人で練習している人の近くに行って声をかけた。

「あのー、すいません。ちょっと聞きたいことあるんですけどいいですか?」

俺の声に気づいたのか、こちらに顔を向けた。

「なんですか?」

「サッカー部の間で最近なにかありましたか?」

「いや特にないけど」

俺の意味の分からない質問に対して、一瞬イケイケの陽キャ集団の方に視線を向けたがすぐに答えた。

そして俺と花澤に迷惑そうな表情をして、

「練習中なんで、いいですか」

と彼は言い、一人で壁当てを始めた。


そのあとは野球部に話を聞きに行くことにした。

野球部は第二グラウンドを使って練習している。

部員は12人と少ないが、県大会で優勝するほどの実力を兼ね備えている。そして、野球部もサッカー部同様イケイケの陽キャの集まりだ。野球部の部員12人全員が陽キャで誰1人陰キャという言葉が似合う人間はいない。


第二グラウンドに来ている途中に花澤には野球部とはどういう人間の集まりなのかを説明した。

野球部がどういう人間の集まりなのか知った花澤は俺に、

「野球部にどう話しかけるの?」

その聞き方では、俺が陽キャの人間に話しかけられない可哀想な子みたいじゃないか。

まぁ実際は陽キャの人間に話しかけるなんて大イベント絶対にしたくない。

だからこそ今回は聞き込みじゃない方法にしよう!と俺は心で決めて花澤に言った。

「まぁ、今回は話しかけるんじゃなくて見て情報を得よう」

花澤は俺の発言に、?という感じの表情をしたが渋々納得してくれた。

「わかった。とりあえずどこで見るの?」

「そうだな。三階の教室から見よう」


そして、3分後。俺と花澤は3年4組の教室の窓から第二グラウンドで練習している野球部を観察することにした。

野球部は1から12の背番号のユニフォーム姿で大きな声を出して練習している。その姿は強豪の野球部のような雰囲気が出ている。まぁ雰囲気ではなく、実際に県大会で優勝するのだから強豪だ。


そんな野球部の練習を見ている途中で俺は何か違和感に気づいた。

だが、その違和感が何なのかがわからない。

花澤は必死に何かメモをしながら野球部を観察していた。





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