第7話 詳しいこと


鈴木先生は花澤に何を言って説得したのか知りたいが、まぁこのストーカーの件を受ける気になったのならいいか。

「じゃあ私はいろいろと忙しいから、お前らよろしく」

鈴木先生はこう言うと俺と花澤の頭をポンと優しくたたいて部屋を出て行った。

鈴木先生が手伝ってくれないことは少し不満が残るが、あの人は一度言ったら訂正しないような人間だから仕方ない。


「荻原君、どうする?」

花澤が俺に言ってきた。

「まずはストーカーの件についての詳しいことを話してもらおうか」

俺は茅野からストーカーの件について詳しく聞くことにした。

「ストーカーにあっているのはいつからなんだ?」

「始業式の日から学校内で誰かに見られているような感じがして、最近は帰り道にも付きまとわれてる気がするんだよね」

「次はストーカーをされる心当たりとかはあるか?」

「心当たりは特にないかな」

俺は茅野からできる限りストーカーの件について聞けることができた。


そして詳しいことを聞き終わったちょうどの時だった。

コンコンと扉をノックする音が聞こえた。

「美咲いる?」

誰かが扉をノックした後に茅野のことを名前で呼んだ。

茅野はその声に聞き覚えがあったようですぐに扉を開けた。

そこには金髪ショートカットでハーフ系の顔立ちの女子生徒1人が立っていた。

「ごめんね。待たせちゃったね」

「もう美咲ったら遅いよー。早く部活行こ」

「ごめんごめん。もう用も済んだから行こうか」

茅野は金髪ショートカットのハーフ女子にこう言うと俺と花澤がいる方向を向いた。

「とりあえず今日はお開きってことで。バイバイ花澤ちゃん、はぎわら君」

茅野はそのまま金髪ショートカットのハーフ女子と部活に行った。

てか今俺の名前間違えてなかった?次会ったらちゃんと言わねばならない。と思っていると横から花澤が口を開いた。

「なんか面白くて優しい人だったね」

「そうか?まぁ悪い奴ではないな」



茅野が部屋を出て行ってから俺と花澤は茅野から聞いたことを紙にまとめることにした。


「始業式の日から見られている感じがする。

 最近は帰り道にも付きまとわれている感じがする。

 毎週水曜日は付きまとわれている感じがしない。

 心当たりはない。

 授業中にも見られている感じがする。

 知っているのは俺と茅野と鈴木先生だけ。

 ストーカーの件の噂は最近知らない間に流れ出した。

 体育の授業から帰ってきたらカバンが空いていることがあった。」


俺は聞いたことをすべて紙に書き終わった。

「とりあえず聞いたことは全部書いたな」

「これだけ見ても全く犯人が想像つかないね」

「まぁこれから調べたりして犯人を見つけ出すしか方法はないってことだな」

俺と花澤が会話をしていると鈴木先生が部屋に入ってきた。

「今日は終わったのか?」

鈴木先生が笑いながら言ってきた。

なんだこの人?俺と花澤にすべてを任せて出て行ったくせに。

「そうですよ。今日はもう終わりましたよ」

俺は鈴木先生の発言にすぐに返事をした。

「じゃあ、お前ら帰り送ってやるよ。さぁさぁ帰るよ」

鈴木先生は俺と花澤の返事を聞かずに強引に車に連れて行った。


車の中では鈴木先生に茅野から聞いたことを報告した。

報告しているとあっという間に俺の家の前に着いた。

「どうもありがとうございました。じゃあな花澤」

「おう!また報告よろしくな」

「またね。荻原君」

別れの挨拶を済ますと鈴木先生がアクセルを踏んで車は動いていった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る