第4話 アイデア

花澤のお願いを受けてから3日が経った。

俺はあの日から毎日放課後に花澤と鈴木先生と生徒指導室で、どうすれば花澤をクラスに馴染ませることができるかを話し合っているが、一つも良いアイデアが出てこない。

そして、今日も放課後に話し合うことになっている。


キーンコーンカーンコーン。

4時間目の体育授業が終わり、俺を含めたクラスの全員が体育館から教室へと戻っていく。その途中でクラスの女子2人が最近ストーカーに付け回されている人がいるという話しが耳に入ってきた。だが、周りの連中の話し声が大きくてそれ以上は聞くことはできなかった。


俺は一人で昼飯を教室で食べながらストーカーの会話のことを考えていたら、一つのアイデアが浮かんだ。


そしてその日の放課後。俺と花澤は生徒指導室にいた。

いつもの集合の時間になっても鈴木先生は来ない。

「鈴木先生来ないですね」

「そうだな。なんか用事でもできたんじゃないか」

このような会話をしながら鈴木先生を待っていたら30分くらいが経った。

俺は昼の時に思いついたアイデアを花澤と鈴木先生に話そうとしたが、鈴木先生はまだ来ない。

まぁ二度手間だが、鈴木先生には後で話せばいいか。


「花澤」

「はい、なんでしょう」

「今日昼飯を食っている時に、花澤をクラスに馴染ませるアイデアが浮かんだ」

「ほんとうですか」

「あぁ、そのアイデアというのはクラスの一人を助ければいいんだ」

「助ける?」

花澤は首を傾げた。

まぁこの反応は想定していたことだ。

俺はアイデアについて詳しく説明を始めた。


「人間というのは助けてもらった少しでも好感を持つものだ。それを利用してクラ

スの一人を助けて好感を持たれる。それを繰り返して仲良くなればそいつのグループに入ることができるというわけだ。わかったか?」

「わかりました。でも助けるって具体的にどんなことでしょうか?」

「まぁ助けるといっても、全く印象に残らないような助けをしても意味がない。何か印象が残るような助けをすればそれ相応の交換がもたれるわけだ」

「そういうことですか。でもそんなに印象が残るような助けを求めている人はいるのでしょうか」

良い質問だ。さすがは花澤というべきか。

「実は、今日体育が終わった後に…」

ガラガラガラ。

俺が花澤に説明している途中でドアが開いた。

そして生徒指導室に鈴木先生と一人の見覚えのある女子生徒が入ってきた。



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