第3話 透明感のある青年
視線の先に映ったのは、とても透明感のある青年だった。
未成年?成人してる?どちらか定かではないけど、もしかしたら、僕と同じくらいの歳の人かもしれない。
「どうかされましたか?体調悪いですか?」
その透明感のある綺麗な青年が、心配そうに僕の顔を見つめた。
白い布で縁取りされたデニム生地のエプロンが、彼をとてもステキに演出する。
モテそうだなぁ、なんて、思いながらボーっと彼を見ていたら、また、耳鳴りが来た。
ザザザザーーー、ザ。
ピーーーーーーピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ。
う、ピピピピうるさい。
右耳を右手で押さえる、眉間に皺が寄る。
とても濃い、ミントの香りが鼻の奥に漂い、ツンと来るせいで、眼球が刺激されて涙が出てきた。
ポロポロポロポロ、止まらない。
そのときビリっと音がした。
纏っている袋をやぶった音。
四角く畳まれたおしぼりが、グッと目に押し当てられる。
「・・・っ、ありがとうございます。」
小さく呟く。
「ご注文はカフェオレでよろしいですか?」
僕はうなずく。ほとんど毎日のように来ているから、僕のことを知っているのかな。
そんな風に、ただぼんやりと。
今の僕には、そんな思考しか出来ない。
ただただミントの香りが収まるのを待つしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます