第18話 本来の目的
白蓮の騎士団一行
「団長殿。」
「なんだね、さっきから文句ばかりでなく、不満でもあるのか!」
「いえ、少し腑に落ちないといいますか…。」
「嫉妬か?あの小僧ごときに?」
「いえ、そんな…ただ、あのような者に…。」
「ああ、言いたいことはわかる。なぜ、私がそこまでしたのかか?」
「はい。」
「サンスクリッド神父には恩があるからだ。」
「サンスクリッドと言えば…あの戦場の狼と同じ名前…まさか。」
「ああ、そのまさかだよ。軍史で見ただろう?」
「はい、オーク、エルフ、シルフィード、人狼、ハーフウエルザ狩り尽くした大英雄…では…なぜ、彼があんな王都から遠く離れた場所の教会に…。」
「呪いだよ、ストライア君…彼は呪われたんだ…。」
「どういう類のもので…。」
「死霊系のもので、あの戦場にいた敵の魔術師が命がけで掛けた呪いだ…「「時間とともに死に至る」」そういったものだった…。」
「けど、生きていますよ…あの人は…。」
「ああ、あと10年しか持たない…。」
「そんな、あのサンスクリッド・エルフェンリードが…。」
「ああ、だからあの人は移り住んだ…この町へ…。」
「そうでしたか…。」
「彼は私の師でもあった…だから、彼の最後の望みくらい叶えてやろうとな…奇妙な手紙だったんだ…神託を授かった。そして、教会で預かっていた子供に新たな魂が宿ると…。」
「それが、彼なんですね…。」
「どういうわけか…そういうことらしい…レイジは肺を患っていたそうだ…医者には長く持たないとされていた…新しい魂が宿る前に神父はそのことを話していたそうだ。」
「…そうなんですか。でも、レイジって言う子供は誰の子なんですか?神父の息子ですか?」
「いや…、神父には息子もおられるが呪いのため「「死前葬」」を執り行っている。そのため、神父の息子は彼のことはおそらく知らないはずだ…。」
「なるほど…神父が居なくあった後レイジをあなたが育てるということですか…。それが、あなたの恩返しですか…。」
「ああ、そうだ…。ところで君には家族は?」
「ええ、息子と娘が…。団長殿には?」
「ああ、私にもいるさ、バカ息子と娘がね。」
「さては、あなたによく似ているのですね?」
「なっ…。」
「それぐらいわかりますよ。」
「はあ、まあそうしておくか…。」
馬は野を駆けていく、ただ何も無い道を…。
空だけが美しく、白い雲がただ浮いていた。
「ん?おいそこの!」
「はい、何でしょうか?」
「書状を頼みたいのだが」
「はい、私でよろしいのですか?」
先を行く途中、馬車に荷物を積んだ村人達に会った。
しかし、その村人の顔色は良くなかった。
「これを近くの町の連絡員に渡せ。」
「はっ、はい…お気を付けてください、騎士殿…この先は…。」
「それを確かめに行くのが私たちの仕事だ。」
「はっ、はい…私たちはあそこから逃げてきた所です。」
「どうなっているのだ?」
「はっ、はい。何とか持ちこたえていますが、援軍が欲しいと…。もしや、あなた方が?」
「ああ、そうだ。」
「お願いします、お助けください。」
「ああ、わかった、それでは、達者でな。」
「はい、お気を付けください。」
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