第15話 不穏

「…永久の別れであるならば…明日は来ることはない…夢であれば生き続けられると口にしたところで救いはない…終わりは訪れ再び離れ合う…誰かの記憶は延命ではない…♪」

「なにしているの?セフィア?」

「あっ、はい。これ。」


そういって、セフィアは羊を描いた絵を見せてくれた。

顔が真っ黒で、体が白くて、雲が白くて、空が青い。

お世辞にも上手い絵とは言えないが、どこかなつかしい感じがした。

クレヨンで塗りつぶしただけの絵。

でも、きれいだった。


「よく描けてるね。」

「なにそれ、嫌味?」

「ちっ、違うけど…。」

「ふふっ。」


セフィアとは少しづつだが打ち解けることができた。


「ん?」

「どうしたの?」

「あれ?」


セフィアが指さす先には馬車があった。

派手な装飾が…もしかして。


「…行こうか。」

「どこへ?」

「教会に…。」


教会へと戻ると、そこには鎧を着た男がいた。

騎士だろうか。

何か話しているようだ。


「いえ、そのようなことは何も。レイジも帰ってきたましたし…。」

「そうですか…。」

「はい、セフィア様も元気にしております。

「そうですか…ん?…君らは?」

「あっ、お帰りなさい。」

「どうしたんですかシェスカさん?」

「ええ、少しね。」

「この子は?」

「はい、この子はレイジと言います。レイジ、この人は白蓮の騎士団の団長さんよ。」

「スイフェルト・イングライザだ。よろしくな。」

「あっ、はいよろしくお願いいたします。セフィアを迎えに来たのですか?」


すると、団長は笑った。


なんでさ!。

そんなに変なことは言ってないはずなのに…。


「ははは、これはすまない。」

「いいえ…。」

「はあ、それとは別件でねえ…。」

「あっ、そうなんですか…それじゃあたまたまここに寄っただけですか?」

「いや、昨日の夜から「「ハイレ」」くんが見つからないんだ。私たちは、その捜索でねえ。」

「でも、なんであなたたちが?」

「困っている人を助けるのは騎士としては当然だからね…。」

「いえ、人探しなら自警団だけでもいいはずです。それに、いくらなんでも自警団の息子を探すのに騎士団が動くことは考えにくいですし…。だとすると…他にも何かあるのですか?」


うーん…。

言い過ぎかな…どうしよう。


「驚いたな…噂には聞いていたが…。」

「えっ?」

「この辺りで、妙なことをしている子供がいるとね…。」

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