第14話 悪友

「ああ~、つかれた…。」

「さっきから手を抜きやがって、もっと真剣にやれ!」

「…今日はもうおしまい。また、来週」


やっと、終わった・…。

空は赤くなっていた。

綺麗な夕焼け空だ。

なんやかんやでここに来てから五か月近く経った。

本当に何をやっているのだろうな。

まあ、赤子からスタートよりは良かったのかもしれない。

そんなことを思っていた。

すると…。


「なあ、もう少しだけ。」

ハイレがそう言ってきた。

「今日はお終いだ。」

そう返した。

一度続けるというと一時間延長という長さになるため、気が乗らない日は苦痛で仕方ない。


「そういえば、さあ…。」

「なんだよ…。」


帰ろうとした俺にハイレは声をかけた。


「最近、ものが高くなっている気がするんだけど、それも最近はじまった戦時教育とかのせい?」

「知らないよ、そんなの…。というか、戦時教育って?」

「ああ…おれさあ…学校というか塾に通っているんだよ、それでなんていうか、授業内容も変わったんだよね…。」

「そうなのか…。」

「うん…だからさ…。」

「その手には乗らないぞ…。」


はあ…彼は俺を引き留めたいようだが、もう引っかからないからな。

さすがに、ハイレの様子から何がしたいのかが分かるようになった。

とはいえ、それ以前に一度彼に裏切られたことがある。


もう二度と…。

「「絶対に酒場の楽屋なんか覗かないんだからな!」」


さかのぼること、2か月前ハイレに引き留められて、ここ覗いてみなって酒場の天井に小さな穴が開いていたから覗いてたら後ろから屋根に使われている木が劣化していることを知っていたハイレに天井ごと落とされて、着替え途中の踊り子さんに囲まれたんだぞ…。

まあ、いい思い出にはなったんだけど…。

なんとか場を納めて教会に戻ると、シェスカさんが居て、それでハイレの野郎がチクったせいで…。


…晩御飯がパン一切れだった。


そのあと、シェスカの前で懺悔したあと、一緒に寝るという地獄だったんだぞ…。鎖で締められた上で…。それ以降、ハイレと共に寄り道したことは無い。しかし、出合頭に春画というか、異世界のエロ本…彼の親父さんのものを投げつけられ。


「「レイジが、エロ本読んでる!」」と大声を放ったこともあった。


顔を赤らめて慌てふためくと思ったら残念。

中身は高校二年生なんですよ。

ということで魔法で…。その本を…。


「「燃やしました!」」


まあ、その後もいろいろあったけど。

俺は、「「負けるわけなかった」」

本当に…いい思い出がないというか、お前疫病神だろうって思うほどいたずらばかり仕掛けてくるやつだった。そして、いたずらがばれて大人から詰問されと自爆するという典型的な小学生だった。あと、いくら文明が中世ヨーロッパくらいだといってもさすがにませ過ぎだとは思った。このままだと、セフィアに悪い影響が出かねない。そう、思っていた。


「わかったよ、それじゃあ、またな!」

「ああ、さようなら。」


この日は、最後にハイレの話を適当に受け流して教会に戻った。


これ以降、俺はハイレと会うことはなかった。


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