第12話 理屈抜きだとやりやすい

「さてっ、と…。」

さっき買ってきたものを手に取る。


「杭は打ち終わったし、そろそろやりますか。」


針金に魔力を流す。

針金は自分の意のままに竹でできた杭に通し、畑を一周した。

もう一本とり、同じ方法で一周させる。


「あとは、ニードルだけだな…。」


魔法を使って、棘のついた針金を量産した。

これでも、少ないとは思う…。


「それっ!」


針金をこの前と同じように「重力」で切って、魔法で飛ばしてニードルを付けた。

これで、完成だ。


「はあ、まさか…作ることになるとはな…。」


戦場には、必ずとは言ってもいいほど使用される要害兵器。

「「鉄条網」」

元は、柵の代わりに使われたものだった。

しかし、生産性、耐久性など木でできたものよりも強く、なおかつ、害獣を殺すこともできるものだ。


「気をつけてくれって…言わなきゃなあ…。」


誰かに怪我でもされたら、大変だからな。

特に異世界だと…。

ワイヤーカッターが存在していない。


「う~ん、鳥に対してはどうすればいいか…。」


超音波かな…ほら、テーマパークでは使われているあれ。

でも、材料がない。

魔法も持たない…。


「あ、でも鉄はあるのか!」


ということは・・・うん。


「アルキメデスの鏡…と、太陽光発電!」


これだ!。

これだよ、異世界でちょうどいいのは。

この前は、紫外線とかエネルギーにしようとしたらダメだったけど。

普通に「太陽光」なら、たぶん大丈夫だろう。


「善は急げだ。」


ということで、そこら辺に転がっていた岩と前々から邪魔だった大きな岩を原子レベルに分解してそこから銅とケイ素を作って「鏡」と「太陽電池」を作った。

あとは、この前作った「魔法具」と同じように「魔法」で組み合わせれば…。


「よしっ、できた」


高さ五メートルちょいの、「対鳥類用レーザー」ができた。


「…なんか、悲しいな。」


なんで向こうでこの能力が無かったのだろうか…。

ノーベル賞ものだよ…これ。

どういう物かというと、空中を飛ぶ大型生物が近づいたときに魔力を帯びた光線を先に出し周囲のエネルギーを巻き込みながら大型生物を光線で射抜く代物だった。

ただし、夜には使えない。また、発電機構も太陽電池なので発電量も天候に作用される。


「あとは、電池を取りつけてと…よしっ、帰ろうか。」


辺りは暗くなっていた。

すっかり没頭してしまったらしい…。

早く帰らないと怒られるからな…たぶん。

そうして、この日はすぐに教会へと戻ったのだった。

けど、この世界は少なくとも俺一人だけではまわっていなかった。

この時、俺はそのことに気がついていなかった。


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