第10話 因果と逆関係

まさか…姫様が迷惑系だったなんて。


「「女神じゃなくて良かったけど…。」」


「たっ、助けてレイジ…。」


ああ、セフィアがまた涙目に…。


「二匹か…いや、二羽…どう数えようか…。」


…大きいな。

体調は5メートルほどあるだろうか…。

けど、こっちにはカーボン武器、「竹槍」がある。

今では、包丁の方が安いが異世界では便利なものだ。


また、竹には空洞があるため「「刺せる」」し、ある程度傷をつけておけば割れて「「外れにくくなる」」。正し、その場合は刺さりくくなる。だが、割れた竹場合は竹の繊維が「「返し」」になる。


鳥のおもな特徴は三本の尾羽。

短い嘴。

長い爪。

あまり鳥類には詳しくないが、痛そうなのはわかった。

シンドバッドって知っているか?。

それにも、鳥が出てくるんだよな…。

本来だったら、卵を取ったセフィアが悪いんだけどね…。

すまない…。


「れっ、レイジ!」

「ああ、任せろ!」


魔力を身体に駆け巡らせる。


「「硬化」」、「「保護」」、「「増強」」、「「操作」」、「「蓄積」」、「「放出」」。

「いっけええええええええええええ!」


俺は、竹槍を思いっきり投げた。


ピュァ…。


鳥が一匹落ちていった。


グイャァ!


おそらく、この2体はつがいだったのだろう…もう一匹は怒っている。


「「喰らいやがれ!化け物が!」」


そう心の中で叫びながらもう一度竹槍を投げた。

投げた竹槍は鳥の体を貫通し飛び出していた。

俺は、撃ち落とした二羽に近寄り、鳥の死体を回収する。

周囲に血が待っていて他の動物がくるかもしれないと思った。

教会は町のはずれの方にあるので良かったのかもしれない…。

いずれにしろ、この辺りに鉄条網を張った方が良さそうだ…。


「レイジ…?」

「ああ、帰ろうか…。」

「うん。」と彼女は笑顔で笑った。


自分が何をしたのかわかっていないのだ…。

俺は、怒れないのだ。

怒るのは牧師さんとシェスカさんだ。

この呑気な姫を叱ってやりたい…。


「子どもながらの無邪気さじゃ…ダメだよね…。」

「どうしたのレイジ?」

「何でもないよ…。」

「おんぶして!」

「わかった」


彼女の温かさが伝わってくる。

嫌な温かさだ・・・。


「何をやっているのですか!」


ペシッ!


シェスカさんが鞭を床に叩き付ける。


「ごめんなさい…。」

「まったく、悪い子ですね。いくら、姫様でも…ダメなことはダメですよ。」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」


結局、あの鳥は神父さんの手によって供養された。

俺は、「「大人」」であったためお咎めは無しだったが、セフィアは違った。

こうして良いことと、悪いことを学んでいくのだろう。

原始的ではあるが、効果的だ。

けれど、俺はあまりいい気はしなかった。


「…。」

「どうでしたか?」


供養を終えた神父さんが戻ってきた…。


「すいません…私が居ながら…。もう少し目を見張っていればあの鳥を殺さなくても良かったはずです…。」

「いいえ、むしろ良かったのかもしれません。」

「しかし…。」

「はい、むやみな殺生はいけません。」

「…そうですよね。」

「しかし、あなたは善い行いをしました。」

「良い行いですか?でも、そんなことは…。」

「いいえ、セフィアのことはありません。あっ、いや…セフィアも勿論悪いですよ。それで、ですね…あの鳥は旅人の血肉を喰らう怪鳥でした。」

「…。」

「結果としてあなたは善きことをしたのですよ…。」

「…結果ですよ、たぶん。」

「はい、それでもかわりませんよ。村からあなたへの報酬が与えられましたから。最近、活発になっていたのは巣作りのせいでしたか…。正直なところあの鳥は一度その地に居座ると駆除が大変で他の小さな小鳥を食い尽くしてしまう…そんな怪物でしたから…。」

「報酬は神父さんがもらってください…。少なくとも、俺は受け取る気にはなりません。」

「わかりました。では、おこづかいを渡しますね。」


そういって、袋を渡してきた。


「30枚あります。子供が札を持っているのはおかしいですからね。」


そういって、神父さんはセフィアのもとへと行った。

袋の中には500フェイスの金でできたコインが入っていた。

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