第7話 小さな事は一大事?

「よいしょっと…これでいいんだよな?」


改めて出来た釜を見る。

問題ない出来だとは思う。

魔法を使ったから多分平気だろう…。


「さてと、火を入れて…。」


釜に入れた藁が燃え竹が燃え移った。

蓋を閉める。

あとは、放っておけばいいだろう…。


魔法もうまく使えるようになってきた。


「…はあ~。」


つかれた…これからあのお姫様と遊ばなければならないのか。


「子供の頃…だったらなあ。」


いい思い出になったのかもしれない…。

けど…。


「「なんで今何ですかああああああああ!」」


うう…心が高校生だからきついんだよなぁ…距離感が…。

まあ、数年程度だろう…。

彼女がここを離れる…それまでの辛抱だ。

なんて思いながらジョウロでそこら辺に生えまくっている竹に水をやり教会に戻った。


「ただいまー。」

「お帰りなさいレイジ」

「彼女は?」

「ええ、お風呂に入っていますよ。」

「そうですか。」


この教会のお風呂はシャワーと、バスタブ、それと大浴場がある。

大浴場は沐浴…身を清める行事の時に使うようで普段使う浴室とは分かれていた。

あと、日本と同じようにお湯に浸かるようだ。

何で、わかったのかというと…。


…。


「レイジ、そろそろ寝た方がいいでしょう。明日も本は読めますし。」

「はい。」


転生したあと、言葉を覚えることにした。

そのため、教会の書庫にこもった。

そうしていると、牧師は服と下着を渡してきた。


「慣れぬこともあるでしょうが、ひとまず身体を癒してください、風呂の使い方は前に居た世界と同じ方法だとお聞きしています。心配することは何もありませんよ、神はいつもあなたと共に…。」


「ありがとう」っと言葉を返した。


神父さんに案内されて、風呂場まで。

異世界でもお風呂はあるのかな?

ローマみたいな立ち湯だろう…どうせ。

なんて思いながら服を脱いで入ったのだが…。


「ほへえっ!!」


中には生まれたままの姿のシェスカさんがいた。

その姿はその…年頃の高校生にはとても嬉しいものだった。

曲線美というか、柔らかさが目でわかるほどはっきりしていて…。


「す、すいません。」


急いで外に出る。

しかし、風呂場は滑るもので…。


ゴッ…。

転んでしまった。


「だっ、大丈夫ですか?」

「はっ、はい。」


シェスカさんが心配そうにこっちを見てくる。


「ほら、こっちに来てください。風邪をひいてしまいますよ」


そういいながらシェスカさんは俺の身体を優しく包み込んだ。


「…!!」

「身体を洗いましょうか?」

「あっ、いえ大丈夫です!」

「まあ、そんなことは言わないで…座ってください。」


そういってシェスカさんは俺を椅子に座らせた。

すると、そのまま背中を洗い始めた。


「気持ちいいですか?」

「はい…。」

「そうですか」

「その…。」

「はい?」

「前は自分でやれますから…。」

「…ふふ、そうでしたね。」


シェスカさんは笑った。

とても綺麗だった。


「流しますよ」

「はい・・・」

「タオルは取りますね」


そういって彼女は俺の腰に巻いてあったタオルを取った。


「はい、それじゃあ」


熱いお湯が背中にかかる。


「はい、これで身体は洗い終わりましたね。」

「ありがとうございます…。」

「ええ、それでは…。私は先に出ますね。」


そう言ってシェスカさんは出ていった。


浴場には彼女の香りがまだ残っていて…。


「…。」


ここで、彼女が身体を洗っていたことがわかる。

バスタブの中に入るととシェスカさんが衣類が擦れる音がした。

とてもかすかな音であったが何も音のしないここではよく聞こえた…。


改めて浴室を見た。

禊ぎを行うためなのだろうか教会の浴室は大きい。

でも、いつもより…とても大きく感じた。


そのあと、神父さんが入ってきた。

少し他愛のない話をして、浴場を出た。

それ以来、お風呂に入るときは確認をしてから入るようにしている。


「さて、入りますか。」


さすがに、そろそろ大丈夫だろうと思い浴場へと向かった。

途中で、シェスカさんと神父さんにあった。

これなら…誰もお風呂に入っていないだろうと思い、浴室へと向かった。

この時、一つ忘れていたことがあった。


何かって?

それは…。


「ああ、もう!」


脱衣場から女の子が飛び出してきた。

どすっと、軽い感じに俺にぶつかった。


「ちょっと、どこを見て歩いているの?」


そういって女の子は走っていった。

おそらくシェスカさんのもとへいったのだろう…。


そうだよな…。


「「着替え」」にも「「お手伝いさん」」がいるんだもんな…。


残りの彼女との日々はとてつもなく疲れそうだと思った。

…これからどうなるんだろうな、あの子は…。

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