第6話 姫

目覚めたくなくても起きてしまうものだ。

それくらい、人の体内時計は正確なのかもしれない…。

というか昨日何時に寝たのか分からない。

そして、この教会は朝早く起きなくてもいいという感じなのでシェスカさんが起こしに来るまでずっと寝ている。


「…朝か。」


もうこの天井の景色も見慣れたな…。

さて、釜に火を入れて炭でもつくるか…。


「あっ、お姫様が来るんだった…。」


とりあえずあいさつくらいしておこう。

隠れていいても大丈夫だ。

子どもらしくしていればいいかな…。


「……めんどくさいな..。」


何で、中学生くらいからじゃないのだろうか…。


「…着替えますか。」


…。


「今日はお願いしますよ?」


食事を終え、シェスカさんがそう言ってきた。


「これから…ですよね?」

「ええ、そうです」っとシェスカさんは言った。


さっきから神父の姿が見えない。

昨日の議論が長く続いたのだろう…。

身体は大切にしてほしいものだ。


…。


教会で、出迎えの準備をする。

体力は前の世界の比ではないが、身体の大きさはやはり足を引っ張っていた。

そんなことをしているうちに来賓が来た。


教会の前に馬車が止まった。

のどかな田舎の風景には不釣り合いな馬車だ。

さすが、皇族。


「ようこそいらっしゃいました…姫様。」

「ええ、」


馬車から取り巻きと思われる野郎が出てきた。

香水の匂いがキツイ。

髪はてかてか、豪勢な装飾の衣装。

絵に描いたような「「金持ち」」だ。

何より偉そうな態度が気に入らない…。

どこの世界もそんな奴ばっかだな。


すると、そいつは俺を見るなり嫌そうな顔をした。

ポーカーフェイスは苦手なようだな。

それとも、自分以外に上の人がいないからか。

わかりやすいな、あんたは。


「姫様、ここでございます。」

「そう、ありがとう。」

「長旅お疲れ様です。」

「ええ、おかげで腰が痛いわ。」


出てきたのは金髪碧眼の少女だった。

もっと年上かと思っていたよ。

まさか、俺の身体の年と同い年だとは思わなかった。

う~ん、ロリコンってわけではないのだが、ドキドキした。

…えっと、俺は今の状態は「「ショタジジイ」」だ。

ロリババアの対義語…かな。

それで……ああ、もうわけわかんないな。


ここは、とりあえずポーカーフェイスだ。

表情を見せないようにしなければ。


すると…。


「ねえ、あなた何ていう名前なの?」


そう、この女の子に聞かれた。


「レイジだ。」

「そう、大げさな名前ね。」

「ええ、皇女様。彼は「「神童」」です。」

「神童?」

「ええ、いずれわかりますよ。」


そう神父さんは言った。


この時、私は彼女との関係が今後もずっと続くことになるとは思いもしなかった。

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