第5話 好機はピンチ?

「今日の天気晴れ、気温は20度…20リールか…。」


夜、魔法具に記録されたデータを紙にまとめてた。

気温計と雨量計を作ったので、昨日から気温と雨量が計測できるようになった。

この世界のもので作ったので比較的簡素でアナログだった。

気温計には、水銀を使っている。

魔法の方はというと書庫にあった本から魔法の使い方を覚えて、実際に練習していた。


「「「習うより慣れよ!」」


一般の人よりは多く、魔力を持っているのであとは少し使い方を覚えるだけだった。

魔法についてだが、高度な魔法は「「術式」」を使い、簡単なものは何にもしないで発動できるようだ。

あと、魔力はエネルギーなので、龍脈を使うといいらしい。

地殻変動エネルギーを使えばいいか。

あとは、海から取り出せるしね。

日本だったら、「「神社最強説」」なんだけどな。

「「城」」が一番強そうだ。


コンコン…。


誰かがノックをしたようだ。


「レイジ、起きていますか?」

「はい、起きていますよ」


ガチャ。


シェスカさんが入ってきた。


「こんな遅くまで…はい、わかっていますとも子どもじゃないのは…しかし、身体はそう持ちませんよ!」


呆れた顔をして、シェスカさんはそういった。


「それで…どうしたんですか?」

「あっ、はい。明日王国の第五皇女様がいらっしゃるので連絡と思いまして。」

「そうですか…。」

「そうですかではありません!あなたに関係のあることなのですよ…泥だらけで帰ってきた・あ・な・た・に!」

「え、あっ…すいません。」

「はあ…皇女様はこの教会で過ごされたあと学習院に行き、勉学に努める予定です!」

「そうなんですか…。」

「なので、あなたと話す機会は多いかと…。」

「はい、あっ…でも、俺は外で遊ぶことが多いので残念ながらあまり話す機会はないとは思います。」


ムスッとシェスカさんは顔を膨らませている。

…失礼ながらかわいいです。


「…どうしてもですか?」

俺は、シェスカさんに聞き返した。


「はい、頼みますよ!」

「…子守ですか?」

「お願いします…同じくらいの子どもとして。」


…今日、作った釜で早速、竹炭をつくる予定なんですけど。

いや、それは子供とは言わないな。

竹とんぼで遊ぼう!作れはしないけど…それもたぶんダメだよな。


「もちろん、世話役は…。」

「いません!」

「家政婦は?」

「いません!」

「どうしましょう?」

「幸いあなたは転生者です!何とかしてください!教会のためにも!」

「…。」


そう言われると断ることができない。

牧師殿には世話になっているし、今、生活拠点を失うのは絶望的だ。

ただでさえ、身内もいないのに・・・。


「わかりました」

「…そう言ってもらえると助かります。それでは、お休みなさい。」


そう言って、シェスカさんは出ていった。

すっかり目が覚めてしまった。

少し散歩でもするか。


……。


この教会の周りには何も無い。

ただ闇があるだけ。

今日みたいな日は月が顔を出しているので、照らされてる。

幻想的な風景だ。

それが、この世界があの世界ではないことを示している。

ゲームで見た風景…。

そんなものは存在しなかった。

それよりもずっと綺麗なこの景色がある。


「…本当に何にもないなあ。」


…戻るか。


すると、教会の横のホール灯りがともっていた。

神父殿が遊んでいるのだろうか?。

まあ、それもいいだろう。

聖職者が遊んだり、恋をたしなんだりしてもいいはずだ。

人間味のある方がいいとは思う。

やるべきことをやってくれさえすれば…。

何やら話をしているようだ。


「頼むこのままじゃ、うまくいかない飢えてしまう…。」

「土地を開拓しなければ…。」

「軍は来てくれないのか?」


何やら農民が相談に来たようだ。

農耕がうまくいかないようだ。

そのため、土地を開拓しようと言い出しているようだ。


「早く神の言づてを!いや、神父さんあなたの意見を聞きたい。」

「そうだ、いずれにしろ土地は限られている。」

「神父さま、何かいい案!」


神父さんはげんなりしている。

少し待てと言って、部屋から出てしまった。

外からその様子を見ていた。


「神父さん。」


とりあえず声をかけてみた。


「おお、あなたでしたか…。」


いつもの優しそうな顔をだった。


「こんな夜更けに…どうなさいました?」

「眠れないだけです。」

「そうですか。」

「あの…。」

「はい?」

「さっきのは?」

「ええ、どうやら土地が痩せてしまったようです。また、広げないといけません」。


土地が痩せる…肥料がないのだろう…。

魔力によるものもあるとは思う。


「どうすればいいものか…。」


ここは、力になってあげた方がいいだろう。


「家畜を飼うというのはどうでしょうか?」

「家畜…どんな生き物をでしょうか?」

「牛や、豚などです。」

「…馬は既に飼われていますが、作物が取れないのに動物を買うのはをなぜですか?」


混合農業に持っていくといいだろう。

ここら辺なら、土地が広いし、草原だ…。

食文化が問題だがとりあえずクリアだろう。


「はい、まずこれまでと同じように作物を育てます」

「はい…。」

「そこには売れないものや、食べられないものがあります。」

「そうです…しかし、それは肥料として…。」

「はい、それを家畜に与えます。また、家畜の排泄物は肥料として使えます。」

「ほう…。」


あと少し…かな?。

少なくとも有効な案だとは思う。


「そして、繁殖させ食用の肉、チーズなどの乳製品として売ることもできます」

「確かに土地の力ばかりを考えていたのでそれは考えもしなかった。すぐに村人たちに教えて参ります。」

「はい。」

「さすがに、すぐに牛や豚を連れてくるのは難しいので先に他の町から堆肥を貰う…という形で話してきます。問題が起きたときは冷静さが必要ですね。私も少しばかり焦っていたみたいです。まったく…神父だというのに…。それでは…私は会議に戻ります、おやすみなさい。」

「はい、おやすみなさい。」


そういうと神父さんは戻って行った。

どちらにしても農地を拡大する必要はある。

あと、家畜の飼料はそれだけでは足りない…。

まあ、いっか生えてくるし。

あと天然痘の予防にもなるから…。


「「そういえばこの世界って病気とかあんの!」」


…よく考えたら。

医者にあっていない…。

まずいな…。


今度は、「「流行病(はやりやまい)」」で死ぬのか…。


そのあと、しょうもない不安に襲われて眠りについたのであった。

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