第8話 第一節 容疑者は集められる

 巫部さんは、七人の容疑者を来客用スペースへと集めた。七人は、今から起こることが何かを薄らと感じ、緊張した面持ちを私たしへと向けた。

「えー、この度は、夏鈴ちゃんがお亡くなりになったこと、誠に遺憾に思います。改めて、ご冥福を、お祈りいたします」

 巫部さんはまず、娘の死を労った。集められた皆と私は一斉に、沈痛な表情を浮かべた。

「北海正人氏により、夏生くんに対し、夏鈴ちゃんの死の真相を明らかにしてほしいとの依頼があった。これは、犯人を突き止めるだけでなく、何故殺されたのかまで、明らかにする必要がある。そこで夏生くんは、この邸宅を訪れ、事件の真相を掴むべく、捜査にあたった」

 彼の言葉は、淡々と静かに、部屋中に響き渡る。美しい鈴が鳴った後の波紋のように広がるその声は、聞く人全員の心を揺さぶった。不安な表情を浮かべる人、誰が犯人なのかとキョロキョロする人、何かを隠そうとしている人、様々だ。

「夏鈴ちゃんを殺害した犯人、殺された理由について、今から夏生くんに述べてもらうことにする。とくに、殺された理由についてはどうしても想像による推理となるため、間違っていたら、言ってほしい」

 主人は、静かに頷いた。今この瞬間に、娘の死の真相が明らかになる。その覚悟を決めたようだ。

「では、始めるとしよう。夏生くん、あとはよろしく頼むよ」

 巫部さんからバトンを手渡された。初めての殺人事件の真相を、私は語りだした。

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