第7話 第三節 一旦北海宅を出る

 巫部さんが一人で容疑者全員と話がしたいということもあり、私は北海宅を離れることにした。ついでに巫部さんから頼まれたおつかいを済ませるため、コンビニへと向かった。頼まれたのはまた、アイスの実である。

 三時間ぶりくらいに外へ出た。外の方が明らかに暑いはずなのに、どうも、あの家の中よりも快適に感じた。

 このご時世、てっきり探偵の仕事は、人探しや浮気調査くらいだと思っていた。まさか、推理小説のような殺人事件に巻き込まれるなんて。

 私はため息をついた。犯人の目星がついているから尚更だ。どうしても、気持ちが沈んでしまう。

 何故、犯人は娘を殺してしまったのか。という問への答えが、先ほどから頭の中をもの凄いスピードで駆け回っている。

 ……どうも一人になると、頭がスッキリしてくるもんだな。

 殺害への動機が膨らんでいく。あまりにも残酷な理由が、私の脳内を支配した。

 ――本当だろうか。本当に、そんなことが……。

 ひとしきり思考を終えて意識が戻ったときにはすでに、アイスの実が入ったビニール袋を片手に、北海宅への帰路についているところであった。


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