第15話

ひとしずく

それは一滴

その量はひとそれぞれ

しかし

それが人よりも

森の木々よりも

大きなひとしずくであったら

ひとしずくとは

わからないだろう


落ちた水は

木々をへし折り

人間を溺れさせ

辺りを水辺へと変える


そんなひとしずくが

涙などと

人間の誰が知ろうか


死への恐怖と

殺された怒りに

人間は支配され

真実へ近付けないまま

がむしゃらに剣をふるう

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