第14話

砦の壁の高さを超える木々をなぎ倒し

それは来た

恐怖の象徴が

死への使者が

そして命の哀しみが


平穏を求めてではない

破壊を望んでではない

ただひたすらに

ただがむしゃらに

認めて欲しくて

名前を呼んで欲しくて

でも自分が恐ろしいから

でも自分では話せないから


“聖地”にたどり着いた者は

ただ嘆くのみで

ただ己を消すだけで

何の役にも立たないから


助けてと叫ぶ声は

醜い異音にしかならない

威嚇する音しか伝わらない

涙も流れないから

伝わらない


ああ、剣と炎にまた消される・・・

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