※
あれから、一日に一度は電話が掛かって来る。
それも授業が終わった後やバイトの休憩時間に。
(俺の都合に合せてくれてるんだ…)
彼の、ではなくて透に合せてくれて居る事に気付いて思わず携帯を握り締める。
そうなると無性に嬉しくなって、会いたいと言う気持ちが強くなって来る。
でも、後ろめたい思いが強く自分から行動に移すことが出来ないまま、日にちだけがただただ過ぎて行く。
透は元々挫けやすい。
挫けたら、諦めたら暫くその場所を動けないまま、彷徨って彷徨って
その傷を癒す事なく
傷ついたままボロボロになりながらやっと出口に辿り着くのだ。
あの日からどのくらいたったのだろう。
凄く長いような気もするし、短いような気もする。
ぼんやりと考えながら、バイト先からの帰路を辿る。
アパートの有る角を曲がり、部屋の鍵を取り出すために着込んだ厚めのジャケットのポケットを探る。
自然と視線をアパートへ向けると見覚えのあるシルエット。
透はその場から動くことが出来なかった。
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