……










………












見えたのは彼の瞳。


こちらを見据える目に吸い込まれていきそうな、そんな思いが過ぎる。










それから逃げるようにもう一度、瞳を閉じる。








透の肌を這う指先の感触、彼の息遣い、緩やかに押し開かれて行く感覚。










(初めてだ、)






優しいセックス、というのを初めて感じたような気がする。












晴樹との関係は、『性欲処理』という言葉がぴったりと当て嵌まる。


優しさなんてものは微塵もなく、たいした前戯も愛撫もない透の意志などはそこに存在しない。


ただ、ただその時間に耐えて無理矢理に達っせさせられて終わる、そんなセックス。










彼の優しく透の素肌を這う指先が、




服越しではないその感覚が、






今までに感じたことのないようなそんな感覚が、








身体中にぞわぞわと駆け巡る。










その透自身を煽っていく相手の動きが、








透の理性をも奪っていきそうで






己が己でなくなるような、






そんな感覚に苛まれる。










「っ、…んっ!」




その飲み込まれそうになった瞬間、藁を掴むような気持ちでしがみついたその先は、








やはり彼の腕の中で。






彼は、その時優しく透の髪を梳きながら微笑んでくれたのだ。


























(あぁ、そうだ、この人は違う)








そして透は自ら、意識を手放した。

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