※
学校のこと、就職のこと、凄く下らない他愛ない話、
アルコールが深まるに連れお互い饒舌になって行く。
それは軽い話から、徐々に徐々に深い物へと。
「…初めてじゃあ、なかったよね?」
言いにくそうに、彼が耳元で囁く。
「…そりゃあ、少しは…ね」
じゃないとあんな場所でセックスになんて応じる筈がない、
透は緩く首を横に振る。
恋愛という経験はない。
いつも独りよがりで拙い恋。
そして、ただの性欲の捌け口。
自分の気持ちが報われることなんて無いに等しくて、
だから来るもの拒まず、去るもの追わずのスタイルを保ってきたんだ。
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