「大丈夫?」




「…なんとか」




後処理を手早くし終えて、気怠さが残るままに身支度を整える。








…簡単に相手の挑発にのって、簡単に欲情した自分に苛立つように舌打ちする。






(ーーそんなに溜まってたのかーー)




何だか自分が自分じゃないみたいで相手の顔がまともに見れない。


相手から降り注がれる視線に顔をあげられないまま、じっと自分の足元を見ていた。








「…知ってた?この線の前から3両目って、発展場だよ」






学校へ行くためにドアノブに手を掛けた瞬間に聞こえてきた言葉に思わず振り返る。






「同じゲイ同士ならすぐにわかるもんさ」






「また、逢えると良いね」






最後の言葉を聞く前に、勢い良く扉を開けて透は走り出した。








自分は誰かが、どこからどう見てもゲイで、


淫乱なんだと言われた気がして






それが怖くて






透は今着いたばかりの電車に逃げるようにして飛び乗った。

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