『そいつはてぇへんだ!!』


凛「ちょっと! お兄さんも早くこっちに来てくださいよ!」


王「む、無理だよ!; 屋上から木に飛び移るなんて!;」


凛「最初から全部人任せにするつもりだったんですか!」


王「だって僕……運動苦手だし……;」


凛「弱気になるな!」


王「僕はここから飾りを投げる役をするよ」


凛「こんな大きな木に一人で飾りつけしろって言うんですか!」


王「大丈夫、まだ一週間あるから!」


凛「そういう問題じゃない!」


王「じゃあ、やっぱりみんなを呼んでくるよ」


凛「いえ、それには及びません。こうなったらやってやりますよ! ふっふん!」


王「さすが凛! じゃあ、まずはこの飾りを……。──えいっ」


ヒュ~……ポトッ。


凛「…………。全然届いてないんですけど」


王「あれ、おかしいな;」


凛「そうですよね、そうですよね。運動音痴のお兄さんにそんな投てき能力があるわけないですよね」


王「ど、どうしよう……」



──その頃、四階で倒れていたあの子が……。



桃「……あれ……? 会長、あんなところで何してるんだろ……」


ピ「どうかしたのか?」


桃「屋上に会長がいるんです」


ピ「正生徒会長のくせに立入禁止エリアにいるんだな」


桃「か、会長のことだから、きっと何か深いわけがあるんです!! ほら、あんなに思いつめたような顔してるし……」


ピ「思いつめたような顔って……まさか……」


桃「え……?  ──Σハッ!! ま、ままままさか!! 飛び下り──!!」


ピ「そんなのダメだ!! いくら苦しくてもつらくても!! それだけはしちゃいけねぇんだっ!!」


桃「どうしようどうしようどうしようっ!!!!;; ──あっ!! 今田さん!!」


隼「お前ら、なんでそんなにボロボロなんだ?」


桃「そんなことはどうでもいいですっ!! あれを見てください!!」


隼「あ? ……あいつ、あんなところで何してんだ?」


ピ「飛ぼうとしてんだ!! 天国へのカウントダウン!!」


桃「イヤァァーッ!!!!!!」


隼「いやいや、そりゃねぇよ」


世「──見つけましたわよカリオス今田!! 先ほどはよくも……!!」


桃「世麗奈!! 大変だよ大変だよ変態だよっ!!」


世「誰が変態ですか」


桃「会長が!! ──じゃなくて!! 会長が大変だよっ!! ほら!! 屋上から落ちそうになってる!! 堕ちようとしてる!!」


世「あの男に限ってそれはありませんわ。ああ見えて誰よりもしぶとい男ですから」


ピ「そういう奴に限って単純なきっかけで過ちを犯すもんだ……」


桃「そうですよ!! 会長が繊細なのは事実です!! きっと誰かに責められて生きる気力が……!!」


熱「──会長ぉぉぉぉ!!!!!! めげちゃダメだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! ヒッヒーン!!!!」


ナル「ちょっと!! 食堂はそっちじゃないわよ!」


世「バカハル……またみっともない姿に……」


熱「会長は!! 俺っちの結婚式で素晴らしいスピーチを披露するまで死んじゃダメなんだぁぁぁ!!」


隼「その後だったらいいのかよ」


熱「ああ!!」


隼「いやダメだろ!」


マリ「おおおおおお兄ちゃんがしししししし──!!;;」


マッ「落ち着いてくださいマリマリ……まだ死んではいません……。まぁ……いつでも死んでしまえる状況ではありますが……フフフフフ」


マリ「いやぁぁぁぁ!!!!;;」


世「変なことを言うのではありません! まったく、皆から皆まで不吉なことを……」


桃「じゃあ会長はなんであんなところにいるの!?」


世「知りません!」


隼「そういえばあいつ……昔よく、空を飛んでみたいとか言ってたな」


桃「えっ!?」


世「それはわたくしも聞いたことがありますわ。酷く落ち込んだ時には、一日中遠い目をして空を眺めていたものです」


ピ「それどう考えても異常じゃね!? 病んでね!? 僕はヤンデレ!」


桃「か、会長にそんなブラックな一面があったなんて……!!;;」


マッ「では、もう決まりですね……。あの人は……飛びます……」


熱「飛びます飛びます!!」


ナル「アンタは飛ぶなっ!」


マリ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」


桃「私!! 止めてきます!!」


熱「俺っちも行くぜい!!」


世「仕方ありませんわね。別に心配しているわけではありませんが、わたくしも一応ついて行って差し上げますわ」


ピ「お前はツンデレ!」


世「黙らっしゃい!!」







隼「……そういえば、こういう時に騒ぎそうなあいつがいねぇな。まさか、ヤツが首謀者……!?」


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