そして、甦る―(33/34)
「ねぇ、そんなことはどうでもいいんだけど、この荒れた学校はどうなるわけ? 富士子の食堂まで荒らされちゃってるんですけど!」
食堂はナルシーさんの所有物ではありませんよ。
「そうね、修理屋さんは明日じゃないと来れないそうだし……とりあえず、校舎への立ち入りは禁止にするわ。そして今日のお夜食は抜きよ♪」
「Σええぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」
あぁ、ナルシーさんの生きる意味が失われてしまった。
「……冗談よ。何か適当なものを給付するわ」
「そ、そうよね!! 当然だわ!! で、おかわりは!?」
「あるわけないでしょ」
「Σいやあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
あぁ、泣き崩れてしまった。
でも、夏休み期間でまだよかったじゃないですか。
一日中お菓子をむさぼり食っていられるんですから。
「明日もそうなるんじゃないかしら。ちょうどいい機会だわ、ダイエットしましょうね♪」
「死ぬ!! 死ぬわ!! 富士子はあんたに殺されるのよ!!」
「物騒なことを言わないでちょうだい。私はあなたのためを思って言ってるの」
「富士子にダイエットなんて必要ないわ!!」
「いや!! 富士子すわんはもう少し痩せたほうがいいぜい!!!!」
「あんたは黙ってなさい!!」
「Σぐはっ!!」
相変わらずたくましいお尻だ。
「でも、今が夏休みでまだよかったですよね。授業もありませんし……」
え?
授業がない?
いいですねピーチさんは。
ギリギリセーフで。
私には補習があるんですよー。
「確かに、こんな状況下では落ち着いて授業が受けられないからね」
そういえば、正生徒会の方々はたまにしか教室にいないようですが、ちゃんと授業は受けているんですか?
特別メニューでも組み込まれているんですか?
「ですが、普段でもこういうことはよくありますわよね。誰かさんが大暴れしてくださるおかげで」
「「「「「「……ジィー……」」」」」」
「こ、こっちを見るなっ!!」
「そんなに照れなくても」
「照れてねぇよっ!!」
「カスさんはツンデレなんですね」
「なんでそうなる!!!! ――いいかよく考えろ!! 俺なんかより、マッケンのほうが破壊規模はデケェだろ!!」
「いや、あまり変わらないと思いますけど」
「この間も体育館倉庫を爆破させただろ!!」
ああ、そういえばそんなこともあったなぁ。
「あれは……僕も驚きました……。カミカミさんと一緒にかくれんぼをしていたら……突然爆発したんですよ……惚れ薬が……」
Σえっ、惚れ薬!?
そんなもので真理ちゃんの心を!?
「効果抜群だねモグモグ!」
喜んじゃダメだよ真理ちゃん!!
っていうか爆発する惚れ薬ってどんなだよ!!
「さらに、頻度でいえばナルシーのほうが上だ!! よく椅子とか机とか潰してんだろ!!」
あれって見るたびに椅子達が可哀相に思えるんですよね。
「壊したくて壊してるわけじゃないし! 耐久性のない安物が悪いのよ!」
いえ、あなたのは特注品です。
「やっぱりあと50kgだけ痩せようぜい富士子すわん!!!!」
「うるさいっ!!」
「Σブフッ!!」
熱血さんもコりないなぁ。
「そんでもって、意外性でいえばピーラーだ!!」
意外性って……もうこじつけじゃないですか。
「ピーラーは一見何もしてないように見えるけどな!! 全教室のチョークをバキボキに折ったり、雨風が強い日に窓を全開にして回ったりしてるんだよ!!」
「おい!! ダチのくせにバラすんじゃねぇよ!! この裏切り者!!」
えっ、そんなことしていたんですか!?
なんつー地味な嫌がらせ!
「まあ! では、正生徒会室のチョークが使い物にならなくなっていたのも、廊下が水浸しになっていたのも、すべてあなたのせいだったというのですか!? 許しません!!」
「これが不良である僕の真の姿だ!!」
スケールのちったい不良だな。
「そして一番タチが悪いのはお前だよ、トロ!!」
「え? 私?」
「お前は俺達の共犯者のくせに、自分だけ先に逃げたり他人のフリしたりするだろうが!!」
「だって実際、私は何もしていませんし」
「黙って見てるだけでも罪だ!!」
そんなバナナ。
「でも確かに、凛・トロピカルさんはタチが悪いです……。ヘンテコ人間でもないのに、怖い顔で私を心理的にいじめてきたりして……」
「副会長さん、後で体育館の裏にいらっしゃい」
「Σキャーごめんなさいっ!!;;」
フフフ、あなたとはイイお友達になれそうですフフフ……。
「確かに君達は、それぞれがそれぞれの形で問題を起こしているかもしれないけど、それらを総合的に持っているのが隼人くんだよ」
「Σはぁ!?」
ふむ、言われてみれば……。
「そうですよね。カスさんは地味な嫌がらせから大規模な問題まで数多くをやらかしているくせに自分は悪くないと言い張る……。悪の骨頂です!」
「カス、アンタ最低ね」
「僕を裏切るからだフハハハ!!」
「さすがリーダーです……」
「いやいやいや!! お前らも〝もっとやれ~〟とか言って煽ってただろ!!」
「私は言ってません」
「そんな昔の話忘れたわ」
「つーか言わなくてもやっただろ」
「仲間である僕達に罪をなすりつけるなんて……」
まさに極悪だ。
「でも、あなた達がグルになって起こす問題が一番大きくて厄介だから、やっぱりみんな悪い子よ」
「「「「「えっ」」」」」
マ、ママさん……?
「どれだけ莫大な修理費を費やしたことか……。何度注意しても反省していないようだし、これは今まで以上にキツ~いお仕置きをする必要があるわね♪」
「「「「「Σえぇっ;;」」」」」
ヤ、ヤバい予感……。
「せっかくだから、師匠にそのメニューを考えていただこうかしら」
「そういうことなら任せとけい! ワシが若き頃に毎日しておった特訓スペシャルメニューを叩き込んでやろう!」
「「「「「Σげっ!!」」」」」
いらない!!
そんなお仕置きいらないから!!
「まずはウサギ跳びからじゃ! こうシッカリと腰を落としてだな──Σいだっ!!」
ソッコーで腰痛めた!!
「いだだだだだだっ!!!!;; こいつは過去最大級に痛い!!;;」
バカだ……。
「今のうちに逃げるぞ野郎ども!!」
「「「「アイアイサー!!」」」」
って、私もつい叫んじゃったけど、逃げちゃうんですか?
のちのちのお仕置きがもっと過酷になるだけですよ?
「ま、待つんだ隼人くん!! わかっていながら、君はまた手を汚す道を選ぶのかい!?」
「選ぶんじゃねぇ、もう選んだんだよっ!!」
「ちゃんと反省しないとダメですよぉ!!」
「ワターシ、ニッポン語ワーカリーマセ~ン」
「お待ちなさい!! あなたのすべてを射抜いてみせますわ!!」
「僕に矢を向けるな半面魚人!!」
「富~士子すわ~ん!!!!♪」
「ああもう鼓膜破れたっ!!!!」
「モグモグも真理を置いていっちゃうの!?」
「カミカミさんも……いえ、マリマリも一緒に来ればいいんですよ……フフフ」
「モルモルぅ!!」
なんかまたあの二人がイケナイ方向へ進もうとしている気がする!!
お姉ちゃんもお兄ちゃんも許しませんからね!!
「──おい! ボケッとしてんじゃねぇよトロ!!」
「えっ」
モルモルもといマッケンさんを睨んでいた私は、カスさんに腕を引っ張られ、そのまま保健室を飛び出しました。
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