核心、現る―(11/19)
※~[カリオス今田]視点~※
取り込み中でも知るか!!
ヤツはこの部屋に逃げたはずだ!!
邪魔するぜ!!
「──あらよっ!!」
∑ドカァァァーンッッ!!!!!!
「「!?」」
……ふんっ、やっぱりな。
「い、今田くん!?」
「いきなり何するんですか!!」
「うるせぇ!! 黙ってその娘をよこせ!!」
今の俺、ただの変質者だな。
「また加美くんを狙って……!」
「あなたの目的はなんですか!!」
「お前らには関係ねぇだろ!!」
吐き捨てるように怒鳴った俺は、玉野郎にへばりついてるヤツを引き剥がそうと飛びかかった。
すると──。
「∑うおっ!?」
傍らにいた正生徒会の副会長とやらに胸ぐらを掴まれ、まさかのまさかで投げ飛ばされてしまった。
「殺人投げっ!!!!」
技名怖ぇし!
「会長! 逃げてください!!」
「そ、そんなことできないよ!! 君が加美くんと一緒に逃げるんだ!!」
「それこそできません!! 会長を守るのが私の役目です!!」
「ダメだっ!!」
何言い合ってんだこいつら。
どのみち逃がさねぇし。
「ウゼェやつらは引っ込んでろ!!」
「きゃっ!?」
俺は目の前に立ちはだかっていたピーチ野郎をなぎ払い、
「桃子くんっ!!」
「よそ見してる暇あんのかよ!!」
「∑ぅわっ!」
一瞬の隙ができた玉野郎を突き飛ばした。
そして、玉野郎から離れたヤツの腕をグイッと掴む。
「──!?」
しかし、すぐに放してしまった。
ヤツの体が、あり得ないほど震えていたことに驚いたからだ。
よく見たら、顔が真っ青で汗もかいている。
な、何だ……?
どうしたんだ……こいつ……。
「やめるんだっ!!」
「∑うおっ!?」
いってぇ!!
この玉野郎……!!
タックルなんかかましやがって!!
「桃子くん!! 今のうちに早く!!」
「えっ! で、でもっ……!!」
「今は加美くんの身の安全を一番に考えるんだ!!」
「うっ……。──わ、わかりましたっ……!!」
「オイコラぁ!! 待ちやがれ!!」
ヤツは、俺が押さえつけられている間に、ピーチ野郎に腕を引っ張られて部屋から出ていった。
──くそっ!!
あともうちょっとだったってのにっ!!
「放せくそ野郎っ!!」
「落ち着くんだ今田くん!! 昨日からおかしいよ君は!!」
「うるせぇ!! 邪魔すんじゃねぇ!!」
「一体どうしたっていうんだ!!」
「テメェには関係ねぇだろうが!!」
「関係ないことないよっ!!」
「お節介だって言ってんだろうがっ!!」
「……ということは、やっぱり例の件なんだね……?」
「!」
し、しまった……!
こいつにはぜってー言いたくなかったのに……!!
「どうしていつも相談してくれないんだ!」
「うるせぇ!! どけっ!!」
「わっ!」
いつまでへばりついてんだよ気持ち悪ぃ!!
「俺はなぁ、お前の手なんか借りるつもりねぇんだよ! 自分一人で十分なんだよ!!」
「自分一人でやった結果がこれじゃないか! 君は強情なんだよ! 加美くんが怖がっていたことに気づかなかったのかい!?」
「こ、怖がってた……!?」
う、嘘だろ……!?
あんな無機質で無愛想なやつが、俺を……怖がる……!?
「やっぱり気づいていなかったんだね……。──これは、あまり公言しないほうがいいと思ったからみんなには黙っていたんだけど……加美くんは、男性恐怖症なんだ」
「は……!? 男性恐怖症!?」
な、なんだそいつは!!
男が怖いってやつか!?
「そうだよ。少し前に、本人から聞いたんだ」
「で、でも、お前のことは平気そうじゃねぇか!」
「それは……慣れじゃないかな」
なんだよそれ……。
「じゃあ、慣れたら俺とも普通に話せるってことかよ」
「まあ……そうだと思うけど、君は乱暴だから、なかなか心を開いてくれないんじゃないかな」
「ほっとけ!!」
「ほっといたら進展しないよ」
「うっ」
じゃあどうしろって言うんだよ……!
「そんなに彼女と話がしたいのなら、僕達を介して話せばいい。今みたいに無理やり話そうとするのなら、僕が許さない」
それができたら苦労しねぇよ!
なんでこの俺が、女一人と話すためにお前らに立ち会ってもらわなきゃなんねぇんだよ!!
「──一つ聞いておくけど、君は何を理由に、加美くんが君の捜している人だと思うんだい?」
「……そんなもん、パッと見に決まってんだろうが」
「それだけ?」
「それしか思い当たる節がねぇんだから仕方ねぇだろうが! その他を聞きてぇから話がしてんだよ!!」
「そ、そんなに大声を出さなくても……;;」
ああ、くそっ!!
なんでこんなところでこんなやつとチンタラ話してなきゃなんねぇんだよ!!
あくせくしたってしょうがない!?
そんなもん知るか!!
「お前にはわからねぇだろうがな! 俺はもう6年ももどかしい気分の中にいんだよ!! お前がこの学校にいるっていうから入学して死に物狂いで捜してんのに、邪魔する気かよ!! 俺がただ闇雲に好き勝手やってるだけだと思うなよっ!!」
「邪魔なんてしてないよ!! 僕は君の力になりたいだけで……!」
「お前がそのつもりでも、こっちは迷惑してんだよ!! うぜぇんだよ!! 引っ込んでろ!!」
「∑あっ! ま、待って今田くん!!」
こいつと話してても埒があかねぇ!!
俺は素早く立ち上がって、部屋を飛び出した──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます