魚群、現る―(10/13)


※~[カリオス今田]視点~※



俺達は化け屋敷から出ると、そのまま水族館の外へ出た。


「……はぁ、はぁ……」


「お腹空いた喉渇いたぁ~!!」


「僕はどうすればいいんだぁ!!」


「追っ手はないようですね……」


「────」


ったく、しつこいやつらだな。

ちょっと外出するくらいいいだろうが。

心がせめぇぜ。


「敵はまいたな。とりあえず、俺達の勝利ってことで! バンザーイ!! バンザーイ!!」


「「「バンザーイ!! バンザーイ!!」」」


「────」


相変わらずノリが悪いなトロは。


一番の問題児じゃねぇか。


「おいトロ、こういう時くらい一緒に騒げよ!」


「────」


無視かよ!


「ちょっとトロちゃん! そういうのを協調性がないっていうのよ!」


そうだそうだ!


「そうだぜ。僕だって本当はやりたくねぇのに」


え、マジ?


「トロさんだけズルいです……」


お前ら、案外ノリ気じゃねぇんだな。


「────」


ツッコミなしかよ。

いつにも増して無愛想だな。

っていうかこいつ、今日こんな全身真っ黒な格好してたっけ?

身長も30センチくらい縮んでるような……。


「おいっ、聞いてんのかトロ!」


「富士子を無視するなんていい度胸ね!」


「あっ、僕のポスターがない!?」


「トロさん最低です……」


「────」


な、なんだ?

まさか泣いてんのか?

そんなに化け屋敷が怖かったのか?

チビったりしてねぇ……よな?;;


「お、おいっ! 返事くらいしろよっ!!」


俺は、トロのサングラスを無理やり剥ぎ取った。


──そして──。


「「「「──!!!?」」」」


こ、こいつは……!!


「お、お前っ……!!」


「トロちゃんじゃない!?」


「確か正生徒会の……!」


「影が薄い人、ですね……」


お前も大概薄いぜマッケン。


「────」


ん?

ちょ、ちょっと待てよ……。

よく見たらこいつ、トロによく似てる……。

黒髪で……和風系の顔で……どっちかっていうと鋭めの目つきで……。


──ま、まさか……!!


こいつが、俺の捜してる……!?


「──うっ!!」


バタリ。


「ちょ、ちょっとカス!?」


「兄貴!?」


「死にましたか……」


この時油断した俺は、目が合った瞬間、気絶させられてしまった。


〝重要な手がかり〟を、しっかりと掴みながら……。

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