魚群、現る―(4/13)
※~[盛利桃子]視点~※
「あ、あの、会長……先ほどの爆発は……」
「気にしちゃダメだよ桃子くん。今日の僕らはオフなんだから」
「そ、それもそうですね」
いやっ、ダメなのでは!?
さっきのアレは絶対あの問題児さんの仕業ですよ!
「たまの休日なのですから、学校のことは忘れなさい」
「そうだぜ桃っちゃん! 今日の俺達は自由だ!! ハメを外そうじゃないかぁ!!」
「マサハル君、もう少し静かにしようか;」
「Hey!! 了解してるぜい!」
「嘘おっしゃい!」
「世麗奈くんも、静粛にね;」
そ、そっか……そうだよね!
せっかくのお休みで、しかも会長と一緒の外出なんだから、楽しまなきゃ損損!
私服の会長は初めて見たけど、やっぱりカッコいい//
私の服は変じゃないかな……世麗奈に選んでもらったから大丈夫だと思うけど、自分じゃとても似合ってるとは思えない……;
スカートなんて制服のやつ以外履いたことなかったし、オシャレな髪留めだって着けたことなかったし……。
「…………」
わ、加美さんが睨んでる;
私を睨んでる;
サングラスの奥から睨んでる;
なんであんなに重装備なんだろ……全身真っ黒。
日焼け対策かな?
まさか、誰かに見つかったらヤバいとか?
「そういえば今、コージ水族館では、夏休み限定でお化け屋敷を催していると聞きましたわ」
「「「お化け屋敷?」」」
会長のお顔がみるみる強ばっていく……。
「えぇ。今季に上映が開始されるアメリカ映画『果肉100%ジョーズ』の上映記念なんだとか」
「『果肉100%ジョーズ』って、サメが出てくる映画だよな!!」
「そうですわ」
「サメって、食べられる魚だよな!!」
「そうですわ」
「ぃよし!!!!」
え、なんでガッツポーズ!?
「っていうことは、お化けのサメが出てくるのかな?」
「普通に考えたらそうですわね」
「怖そう……」
だけど、これはまさかチャンスなのでは!?
暗闇で会長と急接近できるチャンスなのでは!?
キャー//!!
興奮してきた//!!
顔が赤くなっちゃう//!!
「…………;;」
か、会長、お顔が真っ青……!!
前から思ってたけど、もしかして会長って……極度の怖がり?;;
※~[凛・トロピカル]視点~※
「せ~んろは続く~よ~、ど~こま~で~も~♪」
ちょっとカスさん、つり革でブラブラしないでくださいよ。
「野~を越え山越~え~、た~に越~え~て~♪」
黙って立っているだけでも目立つんですから、動かないでください。
「フ~ンフフフフ~♪」
続き知らんのかい!
「バカね、そこは『ハルマキおいしい僕達の』よ」
遥かな街まで僕達の、です。
「…………。さらば~地球よ~♪ 旅立~つ船は~♪」
違う歌唱い始めた。
「宇宙~戦艦~~♪」
「──ヤマト!!!!」
あ、ピーラーさんが復活した。
「ヤマトっ!!」
『お客さん、お静かに願います』
ほらー、運転手さんに怒られたー。
「「…………」」
「「宇宙の彼方~!!!!! イ~スカンダルへー!!!!!」」
∑二人で歌い始めた!!
「「運命背負い──」」
『お客さん! お静かに! お客さん!?』
「チョット~、静カニ、二人トモ……」
「かならぁ~ずここへ~!!♪ かえぇぇ~って来るとぉ~!!♪」
ナルシーさんまで歌い始めた!!
「「「手を振るぅ~人ぉにー!!♪ 笑顔ぉ~でこ~た~あえー!!」」」
ちょっとちょっと、ホントにうるさいですって。
なに綺麗にハモっちゃってんの。
『お客さんっ!! お客さん!!!?』
ああ~ごめんなさい運転手さん。
本当にごめんなさいお客さん達。
一番終わるまで待ってください……。
「「「銀河を離れっ!!!! イースカンダルへ!!!! は~る~ばぁーるの~ぞぉぉぉむぅぅぅ!!!!」」」
『お客さぁぁぁぁぁんっ!!!!!!』
運転手さんもカスさん達もめちゃくちゃヒートアップしてる……っていうか叫んでる。
「「「宇宙!!! 戦!!! 艦!!! ヤァァァアアァァァアァァァァァマァァアアァァァァアァァァァァトォォォオオォォォォオォォッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」
『降りろぉぉおぉぉぉ!!!!!!!!』
はい、降ります。
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