正生徒会、現る―(3/11)


しょうがないからやってきました、正生徒会室。

やだな、絶対喧嘩するよ。


「静カニ、ノックシテクダサイネ」


「おぅ、了解だぜ!! ──失礼しま~す!!」


──ドガーンッ!!


って、オイ!!

扉蹴り飛ばすなよ!!

人の話聞いてた!?


「突撃ラブハァァァートッ!!!!」


「「「うぉ~!!」」」


うぉ~、じゃねぇよ!!

戦の前に話し合いを!!


「──!? なんだい君達は!?」


お騒がせ集団でーす。


「オラオラオラ!! てめぇらが正生徒会とかいうスカポンかっ!!」


「さっさとこの学校から出ていきなさいっ!!」


「僕らの聖地に無断で踏み入れてんじゃねぇよ!!」


「ねぇよー……!」


マッケンさん、か細っ!!


「な、なんなんですかいきなり! 皆さん、何組の生徒ですか!?」


ローツインの副会長さんがこっちを睨んでいます。

すみませんね、私じゃ止められませんでした。


「おぉ! 元気そうなやつらが来たな! 熱いぜウェルカム!!」


いかにもスポーツマンっぽい書記さんが笑顔で両手を広げています。


「イエーイ!! 来てやったぜウェルカム!!」


カスさんが書記さんに飛びつきました!

ハグしています!

敵とハグしています!


「やめなさいマサハル、汚らわしいですわ」


矢筒を携えた縦巻きロールの会計さんは眉間に皺を寄せてヒいてます。

汚らわしいって……。


「Yo!! 俺達はご挨拶に来たんだぜ!! 俺はカリオス今田だ!! よろしく頼むぜ!!」


「おぅ!! 俺は正生徒会書記の杉田青春だ!! よろしくな!!」


書記さんが腕章と左胸のネームプレートを指差します。


「スギタマサハル!? セイシュンって書いてマサハルか!! お前のセイシュン過ぎたのか!! ブハハ!! お前の名前超ウケるぅ~!!」


「…………」


あれ?


「俺のセイシュンはこれからだぁぁぁあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」


∑怒った!?

まあ仕方ないか。


「なんですのあなた! 親から授かった大切な固有名詞をけなすなんて!!」


固有名詞……。


「あぁ? 誰だお前」


「わたくしは、正生徒会会計の江良世麗奈です!」


「セラエレナ?」


「エラセレナです!!」


「あぁ、だからそんなにエラ張ってんのか! 名字がエラってことは家族全員エラ張り!? すげぇな魚人かよ! 家が人面水族館だな!! ダハハハハァ!!」


「…………」


ちょ、ちょっとカスさん……。


「こいつブッ刺すっ!!!!」


うわっ、恐ろしい数の矢が飛んできた!!

でもナルシーさんのお腹が跳ね返してる!!


「痛い痛いっ!! どこ狙ってんのよこのエラブス!!」


「黙れ豚ダルマっ!!」


「誰が豚ダルマよ!!」


口の悪いお嬢様だこと。


「世麗奈くん、少し落ち着くんだ」


おぉ、さすが生徒会長。

顔色悪いけど冷静だ。


「っ……わかりましたわ……」


あ、意外と素直なんだ。


「カリオス今田くん、だったかな? 僕は正生徒会長の玉野王子。君のことは、先生方から聞いてるよ」


カスさん、もうブラックリストに載ってるんだ。


「君の言動は少し度が過ぎているようで……。僕達としても、君達のような生徒を相手にするのは初めてだからね……理解できないというわけではないけれど、この学校の校訓は君達を──」


「タマノオウジ!? タマってなんだ!? タマタマの王子じゃねぇのかフッフゥ!!」


「…………」


この人はホントにもう……。


「ちょっとあなた!! いい加減にしてください!!」


副会長さんがカスさんと会長さんの間に割って入ってきました。


「ん? お前は……えーっと……サカリモモコ?」


「そうです盛利桃子です!! 副会長として忠告します!! あまりでしゃばったことばかり言っているとこっちも正生徒会として正当な手段に──」


「お前も変態系か!! お多感なお盛りか!! 何がお盛んなんだ!? 桃っていうほど胸ないくせに桃子かよ、ふざけんなっ!! このミカンの皮め!!」


「…………」


そろそろカスさんのマウス封じようか。


「殺人蹴りぃぃぃぃ!!!!」


「∑グフォッ!!」


殺人蹴り!?

名前怖っ!

でもパッと見はただのキックだ!


「許さない許さない許さない!!」


「な、なかなか強力な蹴りじゃねぇか……げほっ」


結構ダメージデカそう。


「ま、まあまあ、桃子くんも落ち着いて……」


「∑はっ! 会長の前で、私ったら……//」


副会長さん、頬っぺが桃になってる。

はは~ん、そういうことか。


「ごめんね今田くん。大丈夫かい?」


「チョベリバ」


死語だ。


「わたくし達に非はありませんわ。口の悪いあなたが悪いのです」


「だからって生徒会が暴力を振るうのもおかしいんじゃないの!? おかしいわよね!? 富士子はおかしいと思うわ!」


うん、まあ……うん。


「バカには制裁が必要ですわ。バカは物覚えが悪いのですから、バカな体に鞭を打ってバカ覚えさせるしかないのです」


どこのドS嬢だよバカバカ。


「だから俺はバットでしごかれてきたんだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


いきなり叫ぶな熱血!!


「世麗奈くんもマサハル君も、穏便に、穏便に;;」


気の弱そうな会長さんだなぁ。


「あ、そうだ! ご挨拶にはご挨拶で返さねぇと! 俺はカリオス今田だ!! よろしく頼むZe!!」


カスさんはさっきご挨拶したじゃないですか。


「そんでもって、この豚子がナルシーだ!!」


「豚子っていうな!! グラマー・富士子・オクターブよ!!」


そういえば、ナルシーさんの歌声まだ聞いたことないな。


「んで、金髪のこいつがピーラー!!」


「マッピラゴメン・no・キンピラゴボウ。ちなみに趣味は──これだ」


「∑きゃっ!?」


あ、副会長さんの下着桃色だ!


「な、ななななななななにするんですかっ//!!!!」


っていうかピーラーさん、自己紹介のたびにスカートめくりするんですか?


「……えーっと次は……お前、誰だっけ?」


マッケンさんだよマッケンさん!!


「あ……僕は……キング・オブ・マッケンジャーです……」


「あ、そうそう、マッケンだ! こいつはちと影が薄いが、忘れてやるなよ!!」


お前が言うな!


「そして最後に、恐れ多くも我らが総大将! トロトロのおトロ様だ!!」


トロトロって言うのやめてください。

しかも総大将ってなんですか。


「…………」


「おいトロ! ちゃんとご挨拶しろよ!!」


だって仲間だって思われたくないんですもん……。


「……ワタシ、ニッポン語ワーカリーマセーン」


「ふざけんな!!」


「ワーカリーマセーン」


許して……。


「お前ついに頭のネジがぶっ飛んだか!? まあいい。こいつの名前は、凛・トロピカルだ」


あ、バラしやがった。


「凛……トロピカル……?」


ん?

なんか会長さんの視線が痛い……。


「お前達がこの学校を征服しようとしても無駄だぜ!! 俺とこの下僕どもで死守してやるからな!!」


私が総大将じゃなかったっけ?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る