正生徒会、現る―(4/11)
「君達が言いたいことはよくわかったよ。でも、僕達にも使命がある。負けはしないよ」
「数の時点ではこっちが勝ってるけどな!」
「ん……? 君は、集会での話を聞いていなかったのかな?」
寝ていましたからね。
「正生徒会メンバーは5人。もう一人いるんだよ」
「なにぃ!?」
「いま紹介するよ。──加美くん、出てきてくれる?」
「……ウィ……」
ガラガラガラ。
机の引き出しから誰か出てきた!?
ドラえもんかよ!!
「正生徒会の守り神、
守り神!?
守り神って何!? どういう役職!?
なんで巫女衣装!?
「マモリカミ!? なんて恐ろしい名前なんだ!!」
「……守護加美……女……巫女……年齢不詳……」
年齢不詳!?
私達と同じじゃないの!?
「守護神なんて卑怯だ!! そんなの不平等だ!! 男なら真っ向勝負を──バタッ」
ん!?
カスさん!?
どうした倒れたぞ!!
「カス!? おいカス!! どうしたんだよ!!」
「ああっ、ごめんね! 加美くんは、眼が合った人を気絶させる力を持っているんだ……。調子が悪いと、その力を制御できなくなるらしくて……」
それ人間じゃないよ!!
っていうか、私は巫女服見てたからよかったけど、他の皆さんはどこ見てたわけ!?
「先制しやがったなっ! おいカス! 起きろ!」
「ちょっと!! この部屋でよだれ垂らさないでください!! 殺人殴打!!」
「ゲフッ!!」
マジで殺す気ですかっ!
「ぐほっぐほっ……いてぇ……いてぇけど……もっとぉ~……♪」
変態再臨!?
永眠してなさい!
「……っていうのは冗談だけどよ」
冗談かい!
さっさと起きろ!
「まったく、油断も隙もねぇやつらだな」
今のは確かに卑怯だ。
「今日のところは帰ってやる。だが、明日からはこっちも容赦しねぇ!!」
ダメダメ、ダメだから。
「望むところだよ。君に言葉のあやは通じないようだからね。力でねじ伏せるしかないようだ」
この生徒会長、ちょっとおかしくない?
「よしっ! そうと決まれば、退散するぞ野郎ども!!」
「えぇ~!! 追い出してくれるっていうから富士子もついてきたのにぃ!!」
「あぁ~たりぃなぁ~」
「神様なんているわけないよ……フフフ……」
マッケンさん?
「もう二度と来ないでください!」
「俺はマサハルだぁぁぁ!!!!」
「次は手加減しませんわ」
「……フフフ」
マッケンさんとキャラかぶってますよ、守り神さん。
「じゃあな!! 正生徒会役員ども!!」
カスさんは足早に出ていきました。
ピーラーさん、マッケンさんも続き、私も、ブチブチ文句を言っているナルシーさんの背中を押しながら廊下に出ます。
「──凛・トロピカルくん」
「?」
ぶっ飛んでいた扉を取りつけてから帰ろうかと思っていると、会長さんに呼び止められました。
「今田くんを、頼んだよ」
……?
……は?
どういう意味?
私、マジで総大将じゃないんですけど。
「……ハ? ハイ……」
ここはとりあえず頷いておきました。
面倒なんかみませんけどね。
扉を乱暴に取りつけて正生徒会さん達の視界をシャットアウトすると、目線を上げてクスクスと笑っているピーラーさんとナルシーさんを発見しました。
見てみると、カスさんが壁をよじ登って、〝正生徒会室〟と表記されたプレートに何かを書き込んでいます。
「──よしっ、これで気絶の仕返し完了だ!!」
〝正生徒会室〟が〝正性徒会室〟に……。
隅に〝正しい性教育がモットーです〟って書いてある……。
不覚にも笑っちゃいましたよ。
「見つかる前にドロンだぜ!! よ~い、どどん兵衛!!」
廊下は走っちゃダメですって──ああもう皆さん行っちゃった……。
元気だなぁ。
『──あら、あなたは』
──!?
背後に人の気配!
私は驚いて大仰に振り返りました。
そこには、白衣を纏った一人の女性が……。
「……ン? ア、面接ノ時ノ……?」
「覚えていてくれたの? 嬉しいわ♪」
見覚えのあるこの女性。
入試の面接試験の時、私の面接官だった人だ。
綺麗で妖艶な人だったから覚えていましたよ。
保健の先生だったんですね。
「ちゃんと入学できたのね、ロボちゃん」
ロボじゃぬぇ!
帰国子女の真似そんなに下手!?
っていうか面接の時説明しましたよね!?
「私ハ、帰国子女デース」
「あら、そういう設定だったの? 顔が硬いから、ロボットの真似ごとかと思っていたわ、ごめんなさい」
「イーエイエ……」
設定とか言わないでください。
真似ごととか言わないでください。
面接の時は緊張していただけで、私だってちゃんとやわらかく微笑んだりできますよ。
ニヒッ。
「あなた、何組?」
「B組デース」
「あら、じゃあ今田くんと一緒なのね」
「アノ人ヲ、ゴ存ジナーンデースカ?」
「もちろんよ」
入学して2日目でこの認知度……さすが問題児。
「ソーデスカ……」
「ちゃんと面倒見てあげてね」
なんで私に言うんですか。
イヤですよ。
「…………」
「ふふ、その困った顔……可愛いわ」
おいコラ悪趣味!
「まあいいわ。困ったことがあったらいつでも保健室にいらっしゃい。私でよければ相談に乗ってあげるから」
「ハ、ハイ……」
絶対行かないです。
なんか怖いので……。
「じゃあ、またね、ロボちゃん。授業サボっちゃダメよ」
ロボじゃないし。
サボりませんし。
……って、もうサボってるか。
「了解デ、アリマース。 ──デハ、失礼シマ~ス」
この先生、なんか怖い。
優しそうだけどなんか怖い。
早く逃げよう。
私は全力疾走で教室へ向かいました。
「──ふふ。ボロが出ないように気をつけることね、凛ちゃん」
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