第25話 歴史の常識の話
たまには貼っておく司会紹介→https://kakuyomu.jp/works/1177354054892641004/episodes/1177354054892641022
金子堅太郎「今日は歴史の常識の話です。明治時代、写真はとても貴重かつ取り扱いが難しく、写真館で専門の写真師しか撮ることが出来ませんでした」
伊東巳代治「あ、いたいた! 金子君、見てー! 夏島で撮った写真、現像したよー!」
堅太郎「……それ、いつの写真?」
巳代治「夏島だから憲法作っていた明治20年~30年代前半くらいの写真じゃない」
堅太郎「写真屋さんに現像頼んだの?」
巳代治「え? うちに暗室あるよ」
堅太郎「……」
堅太郎「次の明治の常識を。車は明治終わりの頃でも日本に数十台程度しかなく、街中は人力車や鉄道がメインで、車を見かけることはありませんでした」
巳代治「金子君、帰りは車に乗ってく?」
堅太郎「明治らしくない誘いしないで……」
※巳代治は明治四十年より前に車を持っていました
堅太郎「銃はとても重く、持って走るのが大変。かつ鳥に命中させるには、相当な技術が必要で……」
巳代治「金子君ー! 山に狩りに行って、キジ獲ってきたからいるー?」
堅太郎「……巳代治って文官一筋だよね?」
巳代治「そうだよ。10代のときからずっと」
堅太郎「兵役経験や軍事教練の経験は?」
巳代治「あるわけないじゃん。僕、伊藤さんに陸海軍以外ならどのようなことでも伊藤さんのために全力を尽くします言った男だよ。一番、出来ない分野だよ」
堅太郎「猟は何を撃ってるの? 飛んでる鳥とか撃てる?」
巳代治「うん。猪や熊より鳥撃つのが好きだし、飛んでる鳥だって普通に落とせるよ。なんで?」
堅太郎「……」
堅太郎「……さて、最後に食べ物の話。紅茶は明治39年になると明治屋がリプトン紅茶を輸入するようになります」
巳代治「僕と金子君、紅茶よく飲んでいたよね? 明治20年の舞踏会の時とか」
堅太郎「飲んでたね。アイス食べて紅茶飲みながら、階下の舞踏会の様子を眺めてた」
巳代治「輸入品だったよね、あれ」
堅太郎「……輸入品だったね」
堅太郎「このように……歴史の常識なんて意外と誰かの自伝や書簡集を読むだけで簡単にひっくり返します」
巳代治「なんか疲れてるね、金子君」
堅太郎「巳代治が常識を覆していくから疲れたんだよ……」
巳代治「えー、僕だって金子君の話を聞いて驚いたよ。そんなに留学生って人と一緒に寝るものなの?」
堅太郎「僕はハーバード行ってる頃は小村と共寝してたよ。あと、原が遊びに来ると毎週うちがダブルベッドだったから同衾していたし、それから帰国前に団が熱を出したときに一緒の寝台で寝たらダメって医者が」
巳代治「むしろなんで熱あるのに一緒に寝ようとするの……。ああ、でも関も言ってたな。留学先で大使館の人とよく同衾してたって」
堅太郎「おおらかな時代だからみんなよく一緒に寝るんだよ、きっと」
巳代治「……他の人の話も聞いてから結論出すよ」
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※小村は後に外務大臣になる小村寿太郎のことです。金子君と小村は一緒に暮らしていました。原は後に実業家になる原六郎。品川にある原美術館、群馬のハラミュージアムアークは原六郎の曾孫が開いた美術館です。週末に遊びに来てダブルベッドで一緒に寝て将来の夢を語ったと双方の自伝にあります。団は作曲家・團伊久磨の祖父で、後に三井に入る團琢磨です。団は金子君の妹と結婚するので、金子の義弟になります。
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