第17話 明治時代と吉田茂

伊東巳代治いとうみよじ「今回は明治時代と吉田茂です」

金子堅太郎かねこけんたろう「吉田茂くんは僕の後、二松學舍の舎長になってくれた人なんだよ」


巳代治「二松學舍って『東洋の精神による人格の陶冶』を掲げた学校だよね」

堅太郎「うん。他にも吉田茂くんは皇學館大學の再興にも尽力したんだ」


巳代治「皇學館は官立学校だったときは神宮皇學館大學じゃなかった?」

堅太郎「そう。太平洋戦争終結後は国家神道を推進した機関の一つとして、いわゆる神道指令があって廃学になっちゃったんだ。でも、吉田茂くんを会長にした『皇學館後援会』が発足して、神宮というのを外して皇學館大學として無事に再興したんだよ」


巳代治「昭和・戦後の人というイメージの強い吉田茂ですが、実際には彼の活動期は明治時代からあります。明治の頃に外交官になった吉田茂は、すぐに中国・天津てんしんに赴任。翌年に奉天領事館に赴任します」

堅太郎「中国の後、イタリアで3年間書記官するけど、その後は4年中国の安東、3年天津、3年奉天って感じだよね。昭和以降は長く駐伊大使や駐英大使するけど、明治・大正の頃は中国にいるってイメージ」


巳代治「そのため満州や対中政策にもいろいろな形で関わっています」

堅太郎「吉田茂くんに限らず、外務省関係のあれこれはあまり語られませんが……対中政策などは別に軍部だけで行われるわけではありません。政治家、外交官もそれに色濃く絡みます」

巳代治「昭和の人と見られがちな吉田茂ですが、戦前何をしていたか……を見ると、それまでと違った顔が見られるかもしれません」

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