第4話 レンタカー会社が見つからない




「明日から、レンタカーでザルツブルクなんだけど、朝6半出発だし、レンタカー会社の場所、確認しておかない?」と、私。

「そうだね。朝6時に迷っても、そこらへんに他人歩いてなさそうだしね」

ふふふ。と、その時は軽いジョークのつもりで、笑いあったのが懐かしい。


 二人でランチを済ませたのち、レンタカーのバウチャー(予約表)に書かれている、住所を探す。

「ここらへんだよね?結構ウィーンの中心部の住所なんだけど。」

「うん。さっきランチ食べた店から歩いて10分以内って予想だったんだけど」

「なくない?だいたいレンタカー屋さんってさー。車たくさん並んでるはずだよね?」

周りを見渡しても、ビルの群れ。

レンタカーを並べている店舗なぞ、どこにも見えないのである。

「あの価格。安すぎたから詐欺だったりしてー」

と笑うも、30分程度店を探したのちは、シャレにならない空気になってきた。

「あ、ここ日本にもある旅行会社はいってる。」

と、牧子がビルに入っている会社の一覧を表示しているプレートに、日本にもある旅行会社のウィーン支店という名前を発見する。

「ちょっと、ここの人に聞いてみよう」

と、牧子はためらいなく、そのビルのエレベーターにのる。

「そういえば、私ここの会社で往復航空券買ったわ、一応カスタマーだわ。」

エレベーターの中で、なんとはなしのこじつけを考える私。

エレベーターを降りると、ドアには鍵がかかっていて、インターホンで来訪者を確認したのち、ドアが開くシステムだった。


    ピンポーン。

  「どのようなご用件でしょうか?」

「ちょっと教えてもらいたいことがあるんですけどー。」

 ということで、ドアオープン。

中に入ると、奥にここのボスのプライベートルームみたいな部屋と、その手前にある長い机に3名のスタッフが座っていました。

全員日本人。

手前に座っていた私たちと同じぐらいか、ちょっとおじさんの男性スタッフに。これこれこういうことで、レンタカーの店が見つけられない。という珍事の相談をすると。

「あ。僕前にも、このビルの下あたりで、レンタカー屋さん探している観光客の日本人みたことありますよ」

とのこと。

それってどうなったの?と尋ねると、いやー。あれ見つかったのかな?とことの顛末は知らない様子。

全然役に立たない。

バウチャーを見せるも、ここのビルの住所の近くですよねー。と、近くに座っている女性スタッフと、首をかしげる。

私たちより、英語ぺらぺらなスタッフが、このバウチャーみてもわからないって、、、やっぱりレンタカー詐欺!

と、いらついてきたところに、奥にある、この部屋のボス的な部屋から、金髪ミディアムヘアーの35歳ぐらいにみえる、貫禄のある外国人女性スタッフがでてきました。

私たちの解決しない、レンタカー店の話を聞いたボスは、会社の電話から、そこに書いてある番号に電話をしてくれました。(表示されていた番号はなんと、イギリスでした)

すると。

「ここに書いてあるのは、会社の住所で、さらに下に書かれているURLをクリックして、車を借りる店の場所を表示するんだって言ってるけど?」

(この会話は、先ほどの日本人男性が私たちに通訳してくれています。私たちからの会話も同じく)


  えーーーーーーーーーーーーーっ


 私たちだけではなく、そこにいてバウチャー見ながら、ああでもない、こうでもない。とレンタカー店の場所がわからないと、話していたスタッフ全員が、驚きの声をあげたので。

決して、私たちがバウチャーを見る目のないぼんくらというわけではありません。多分。

そして、この行動力のある金髪のボスのおかげで、レンタカーを借りる場所が判明。

親切なボスは、最寄りの駅の名前もメモしてくれて、私たちは感謝を述べ、そこを退室したのでした。

日本人同士って思ったけど、親切な外国人のほうが役立ってくれたわね。

と、辛辣な会話をエレベーターの中でしたのは秘密です。




  先ほど、謎を解いてくれたビルから、地下鉄に乗り、そのやっと見つけたレンタカー屋に下見に行きます。


そうそう、ウィーン市街地の地下鉄というと、札幌の地下鉄並みにシンプルでわかりやすいです。

旅行初心者にも、おすすめできる、簡潔さ。

旅行ハウトゥ本には、TABACOって書いてある日本でいうキオスクみたいなお店で、地下鉄の回数券を買えと書いてあったので、私たちはウィーン到着後すぐ、タバコ屋でこの回数券を買いました。二人で分けることができるので便利なんだよね。

さて、そのレンタカー屋のある辺鄙な駅に降り立って、ちょっと歩くと、表に車がずらっと並んでいる店があるのですぐに発見できました。

一応、店にはいって、明日借りるんだけど。と、男性スタッフにいうと、カーナビ必要?と聞かれ、即決で必要ないを選択します。

だってさー。どうせ英語かドイツ語で設定必要で、しゃべってくるカーナビ語もドイツ語か英語でしょ?

あんま私たちの役にはたってくれなさそう。

「だいたい、北海道ドライブするときも、ナビつかわないで青看板だけで走ってるんだから、ドレスデン程度いけるだろ。」

という、私に、そうだね。ホテル周辺の場所の地図は、マリちゃんプリントしてたもんね。と牧子も同意。

カーナビなしの、青看板ドライブに決定しました。(36ユーロけちって)

そして、地獄のドレスデンドライブへ続きます。



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