第3話 レンタカーでウィーンからザルツブルクへ

ザルツブルクへ


  「ねー。ウィーンの宿2週間取ったんだけど、ずっとウィーンつーのもつまらないから、アパートに荷物おいてザルツブルクあたり行こうと思うんだけど、二人で列車の往復チケット買うと一人3万×2で6万なんだけど、あんた安いなら安いだけ良いっていってたじゃん?レンタカーなら2泊3日で15000円ぐらいの車みつけたんだけど。」

見つけたんだけど。

と、牧子に決定権をぶんなげたのは、私はべつに往復3万円の列車代金をどうとも思わない立場にあるからであり。

3万払ってもいいし、15000円割る2で、一人75000円のレンタカー代を払うでもよかったのであるからして。

だいたい、日本を出る際、私は国際免許を取得していないので、こちらでの運転は不可。

のちのち知ったことであるが、国際免許というのは、講習もいらず、ただ4500円程度の金を窓口で支払うだけど取得できる単なる証明書で1年有効なので、金払って取ってきても良かったような。

(免停中でも発行可能かどうかはしらんが)

ただ、私が国際免許を取得してきたと仮定しても、ひとつ大きな問題が立ちはだかるのである。

それは、私が見つけた激安レンタカーは、なんとマニュアル車。

もちろん、できるお嬢様であるわたくしは、オートマ限定なぞという、ぬるい免許ではなく、マニュアル車で免許を取得したのであるが、

しかし。

18の時に免許を取得して以来、オートマ車しか運転してきていないので、マニュアル車を、交通ルールも若干違うヨーロッパで久しぶりに運転するには、ブランクがありすぎるのである。

まあ、往復の電車賃3万をケチって、遠いヨーロッパの地で事故っても割りにあわないな?ということで、決定権は牧子にぶんなげておいた。

「安い!」

そして、牧子はまんまと、この提案に食いついた。

「安いんだけど、私国際免許取ってきてないから、あんたが全部運転するなら、レンタカーの予約いれておくけど。」

「私、実家の車はマニュアルだし、海外でもたまに運転するから、レンタカーでいいよ!」

牧子の実家は北海道で酪農をしている。トラクターやなんやは、マニュアルなのだ。

そして、この牧子も、一応は酪農お嬢様ということで、お嬢様友達の一人に含まれている。

「おけおけ。レンタカー会社にメール送っておく。」

これが一週間前に牧子としたスカイプの内容である。

しかし、オーストリアも先進国だというのに、いまだにレンタカーはマニュアル車が主流。

オートマ車を借りるとなるとマニュアル車の2,3倍の値段がするのである。

日本てほんと、先進国っていうか、近未来の国なんだな。と、ふと思う。

今時、レンタカーでマニュアル車探す方が手間だろ。


さて。

私たちのウィーンからザルツブルクへの旅は、まだまだ始まりません。

なぜかというと、レンタカーを借りる前に、とんでもないトラブルが発生したからです。



     

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