第19話

(やったね、京子ちゃんとまりのちゃんすっかり仲直りだよ。それどころかいつもより仲良くなってる気がする)

(本当ですわ。これこそ青春の姿ですわね。お互い自分の思ったことを言い合いながら、時にぶつかりそれでも最後は仲直りする……すばらしいですわ)

 なにやらみかこも感極まっているのかハンカチを取り出して目の端をぬぐっていた。しかし部屋の隅ではないのでちょっと目立った。

「ならそのためにはやっぱり勉強が一番ね」

「どうして」

 朗らかな微笑みをうかべながら京子とまりのが向き合う。

「だって大きな家に住めるようになるためにはお金持ちにならなくちゃいけないもの。そしてお金持ちになるためには出世しなくっちゃいけないのよ。そして自分でトップに立って動いていかなくちゃいけないわ。そのためにはまず勉強して上手にスタートダッシュをきれるようにしておかなくちゃいけないじゃない」

「……勉強だけじゃなくても出来るよ」

「そんなことないわよ。どこでなにをするにしろ、人との関係っていうのは出てくるものだわ。そしてどうせ人とつきあわなくちゃいけないのなら優秀な人との方がいいじゃない。だとしたらこっちも優秀じゃないとつりあわなくなるわ。勉強しとくにこしたことはないじゃない」

「それは京子ちゃんみたいな優等生の考え方だよ。わたしみたいなお勉強嫌いの人間はそんなやり方で人とつきあっていけないと思うな。それよりもやっぱり自分磨きだよ。きらきらと輝いた人間になっていればきっとみかこちゃんみたいな人もよってきてくれるよ」

 その返事に京子は不服そうだった。眉を寄せて唇も尖らせる。

「それじゃやっぱりまりのはまりのと同じくらいの相手としかつきあえないじゃない」

「なによそれ」

 なんだかまた険悪な雰囲気になってきた。そばで安心していたはなであったが、またも情勢がかわりつつあるように思えて肘でみかこをつっつく。目の端で捉えるとみかこも困ったような表情を浮かべていた。

(ど、どうしようみかこちゃん)

(どうしましょうはなさん)

 四たび同じ状況になりつつあった。

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