第18話

「そんなことないわ。まりのこそ言った通りに自分の世界を持っていてすごいわよ。私にはきっと持てないもの」

「ううん、ちがうよ。やっぱりすごいのは京子ちゃんだよ。だってこんなに一生懸命頑張ってるんだもん。かならず報われる日が来るよ」

「なに言ってるの。まりのこそ頑張り屋だわ。ただ物をかき集めることは誰にでも出来るでしょうけど、それで一つの部屋を作り上げるなんて簡単な事じゃないはずよ」

「そんなこといったら学年トップなんてひとりしかなれないんだから、京子ちゃんのほうがすごいよ」

 なんだかさっきと打って変わってほめあいばかりをしていた。もしかしたらふたりとも怒ったままでいるのが嫌だったのかもしれない。その反動のようにいいところをあげている。

「それにまりのはかわいいし。私なんてガリ勉の地味眼鏡よ。かわいげなんてありはしないわ」

「そんなことないってば。京子ちゃんはかわいくなるためのやり方を知らないだけなんだよ。京子ちゃんかしこいから一度わかったら簡単にかわいくなれると思うな」

「そんなの無理よ……まりのの言う通り、今からやってることしか出来るようにならないんだわ……」

「なら京子ちゃん将来偉くなるのは決まったものじゃない。自信もって!」

「そ、そうかしら……」

 まんざらでもないようで顔がほころんだ。

「それならまりのもきっといい相手を見つけることが出来るわ。だってこんなにかわいいんだもの」

「え、本当? でへへ、そうかなぁ~」

 まりのも同じように笑い、頬をだらしなく緩めていた。

「きっとこのままいけばわたしたち、思った通りになるよ」

「そうね。なんだかそんな気がしてきたわ」

 いつも通りを通り越して、いつもなら起こらなそうな意気投合にまで発展していった。雨降って地固まる様子で見ていたはなもみかこも同じように微笑むのだった。

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