第17話
「みかこちゃんみたいな大きな家に住めたら、好きなものばっかり置いたってまだ部屋にあまりがあるんだよ。なら今は小さな部屋しかない家に住めなくても、将来はたくさん部屋のある大きな家に住めることを目指すしかないんだよ」
「その通りだわ!」
いつの間にか意気投合したようだった。部屋の隅で体育座りしていたはなとみかこも手をとって喜ぶ。ふたりがいつも通りに戻ったのだ。
「そもそも悪いのはこんな狭い家にしか住めないお父さんたちが悪いのよ。もっと頑張ればみかこのとまではいわなくても、それなりに大きな家に住めるはずだわ」
「うんうん」
「そしてお父さんには無理だったかもしれないけど、私はそうはならない。このまま成功してみかこに負けないほどの大きな家に住むの。そしたらまりのみたいに好きなもので部屋中を飾るのよ」
「そうだよ」
こちらも手をとりうなづきあう。仲直りは果たされたようだった。
(やった、みかこちゃんやったよ)
(はい。これでおふたりともいつも通りですわ)
色々と画策した結果なにも上手くいかず、ただ傍観するしかなかったのだがとりあえずは上手くいったので部屋の隅で我が事のように喜んだ。それから隅に居続ける必要もなくなったのでそそくさとちゃぶ台に近寄っていく。京子とまりのは気にした様子もなくまだお互いに手を握りあって感極まっていた。
「ごめんなさい、まりの。まりのの部屋を悪く言って。きっと私一人で部屋を自由に使えるのがうらやましかったのよ」
「ううん。こっちこそごめんね。京子ちゃんの部屋を殺風景だなんていって。そりゃ京子ちゃんだってお姉ちゃんと一緒ならそんなに自由には使えないよね。わたしひとりだったからそんなことも気づかなかったよ」
「いいのよ。お互いいたらないところがあるのは仕方ないわ。これから成長していけばいいと思う」
「さすがだね、京子ちゃん。絶対将来偉くなれるよ」
ほめあって和やかな雰囲気がつくられていった。
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