第2話

「とにかく仲直りしてもらわないといけないと思いますわ」

「うん。でもどうすればいいかな」

「……どうしたらいいんでしょう」

 求めることは問うまでもなくわかるのだが、その方法となるとわからない。すっすっすっすっ指を動かしスマホを見ている二人を遠巻きにし、首をかしげる残りの二人だった。

「いつもみたいに言い合ってるほうがいいのにね」

「そうですわね。でもどうしてそんなにむくれていらっしゃるんでしょうか……」

 昨日の言い合いを思えば翌日顔を合わせたからといっていつも通りにはすませられないのかもしれない。とはいえ普段通りに戻ったとしても同じような言い合いをするような気もしないでもなかった。

「やっぱりケンカしたら京子ちゃんもまりのちゃんも気まずいんだね」

「喧嘩でもなかったと思いますけど……」

 みかこはまだそう思っているらしい。なんと答えていいかわからないはなは愛想笑いを浮かべた。

「お互いに相手のことを思ってあれだけ熱心になれるのですからすばらしいことだと思いますわ」

「そ、そう」

 はなは自分はあんな言い合いしたくないな、と思った。が我が身を振り返ってみると家の中ではしょっちゅうしてる気もする。ちょっと反省した。

 しかしみかこは自分の意見に納得したのか、はっとした表情で顔を上げる。

「そうですわ! よく考えてみたら、こうして京子さんとまりのさんが口をきかないのも青春の一ページかもしれませんわね」

「え?」

 よく意味がわからず問い返す。みかこは顔をきらきら輝かせながらはなへと向く。

「だって、お互いに相手のことを思いながらすれ違っていらっしゃるんですもの。これはつい自分の思いが先走ってしまい、相手へ届くことを越えてしまってるんですわ。でもそれでも自分の思いを押しとどめることが出来ない……そうしてぶつかってしまうんですの。青春じゃありませんか⁉」

「そ、そうかなぁ」

 むくれっぱなしの京子とまりのを見ても、どうしてもそうは思えないはなであった。

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