第19話
「だって京子ちゃん、わたしの言ってること間違ってるから正してるんでしょ? なら結婚した相手だって、間違ったこと言ったら正したりしないですますの」
「そ、それは……」
自信がないらしい。
「京子ちゃんから見たら間違ってるかもしれないけど、その人にとっては別に間違ってないようなことまでいちいちいっていったらさ、絶対京子ちゃんのこと好きにならないだけじゃなくて尊敬もしないと思うよ」
「そ、そんなことないわよ」
だって正しいのは私なんだから、と口の中で小さくいったが、強く言い出せる気まではないようだった。
「大体間違ってる間違ってるっていうけど、京子ちゃんだって間違ってることあるじゃない。さっきみたいに人迎え入れるようにした方がいいのはわたしのほうがあってるでしょ? ならさっきは京子ちゃんのほうが間違ってたんだからね」
「うぅ」
反発しながらも先ほどの話は受け入れたのか、言い返すことはなかった。
「それなのに自分の言うことばかり相手に聞いてもらおうなんて、京子ちゃん相手のこと考えないで自分のものにしようとしてると思うな」
「別にそんなこと……」
「京子ちゃん、所有物じゃないんだよ。相手のこと、物じゃなくて人間なんだからね」
ふんぞり返って胸を張った。京子はうなだれる。
「そ、そんなことわかってるわよ……」
「だからわたしだって人間なんだから、京子ちゃんみたいにかしこくなくったって、それでも一生懸命考えて生きてるんだからね」
ますます胸を張った。京子に言いたいことを言えてうれしいらしい。
すっかりしょげ返ってしまった京子をまりのが見下ろしていたが、少し離れた場所ではなもみかこも驚いて見ていた。
「今日、本当にまりのさんどうしてしまったんでしょう」
「なんだか迫力が違うね」
こそこそと二人で言いあうのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます