第18話
「そ、そうですわね。京子さん、立派なレディだと思いますわ」
「うんうん。みかこちゃんのいう通り」
迫力に押されてみかこがうなづき、はなも追随する。
「ほらみなさい! そんなこと思ってるのまりのだけよ!」
「違うよ! 京子ちゃんがこわいからふたりともそんなこといってるだけだよ」
意外と図星だったのでみかことはなは目を合わせないようにした。部屋に散らばるピンクの小物を物色する。
「怖い? 私のどこが怖いっていうの。いつも優しくしてるわ」
思わずはなはブタの貯金箱を見ながら首をかしげてしまったが、見るとみかこもレンズ部分までもショッキングピンクなサングラスを見つめながら小首をかしげていた。
「こわいに決まってるよ! なに言っても怒るんだから」
「お、怒ってないでしょ⁉ 正してあげてるだけよ!」
「それが怒ってるんだよ! わたしのいうことなんてちっとも聞いてくれないじゃない。ううん、聞こうともしない、聞く気もないんだよ」
「それはまりのがろくなこと言わないからよ」
「それって結局わたしに京子ちゃんの考え方で生きろっていってることじゃない!」
京子は黙ってしまった。しかし納得した様子はなく、もぐもぐと口を動かしながら反論しようとしている。
「そんなんじゃ結婚したって京子ちゃん、きっと相手にだってすると思うな。モラハラだよモラハラ」
「なっ……」
さすがに驚いた表情で、むきになって言い返す。
「誰がモラハラよ! そんなわけないでしょ⁉」
「どうして。だって京子ちゃん結婚相手はお互い好きじゃなくても結婚して、京子ちゃんのほうが偉くって、偉い京子ちゃんの将来のために支えてくれるような人なんでしょ。だったらきっと京子ちゃん、わたしにするように相手の人を小バカにするよ。そして自分のほうが偉いから自分のやり方が正しくて、それをやらないとますますバカみたいに見えて、押しつけてやらせようとするに決まってるもん」
「そ、そんなこと……!」
反論しようとするのだが、言葉を続けられなかった。
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