第15話
しばらく口でもごもごやっていたが、はっきりと告げた。
「わかんないわよ!」
「そうでしょ、ならやっぱり人を好きになることは大切な事なんだよ」
どうやら少し話は落ち着いたらしい。見ていたはなもみかこも安心し手元にあるおせんべいを口に運びだした。しかしテーブルはまりのと京子に独占されており、かじって粉が落ちないように木の入れ物の上で気をつけて食べる。ぱりぱりと音が響く。
「だ、だからって……」
京子の声がふるえる。
「だからって、まりのみたいに遊んでばかりじゃ駄目に決まってるわ!」
「別に遊んでばかりじゃないもん!」
京子の叫びにまりのも叫び返して応じた。
「なんでよ。この部屋だってまりのの好きなもので固めたようなもんじゃない。私みたいに勉強してないわ」
「べ、勉強のことは言わなくたっていいでしょ⁉ 京子ちゃんがかしこいのはよくわかってるもん」
勉強、成績となると何も言い返せないまりのだった。
「遊びよ遊び、将来となんにも関係ないわ」
「そ、そんなふうに言わなくたっていいでしょ⁉ わたしだって自分に出来ること頑張ってるんだから」
ぱりぽりとおせんべいをかじりながらはなは、めずらしく京子ちゃんが押し負けてるから自分の得意分野をかざしてなんとか持ち直そうとしてるのかな、とも思った。ついでに粉が落ちないように口元に木の入れ物を近づける。
「京子ちゃん勉強勉強っていってるけどさ、偉くなったら人との遊びでつきあいだって増えてくるんじゃないの。よくわからないけど」
「どういうことよ」
目を細めながら訪ねた。まりのは大きく目を開きながら、
「だってお父さん、休みの日にゴルフとか麻雀行って仕事だ、っていってるよ。京子ちゃんちもそうじゃないの」
「うっ……」
よく似た生活圏の京子には、まりのの言わんとしていたことがわかった。
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