第11話
「京子ちゃんだって今は好きな人いないかもしれないけどさ、勉強して、偉くなって、そのうち結婚するんじゃない」
「そうよ」
「そうでしょ⁉ ならその時相手は好きな人になるじゃない」
「そうかもしれないわね」
「なら京子ちゃんだっていつかは人を好きになって恋をすることになるじゃない」
熱心に言い立てるまりのとは逆に、京子は冷ややかな視線を返していた。むしろ喜んで楽しそうに表情を輝かせていたのは傍観者として見ているみかこの方だった。手を叩いて嬉しそうなまなざしを向ける。
「そんなのわからないわよ」
「どうして? 好きにならないとしたら嫌いな人と結婚するの」
みかこがますますきらきらと瞳を輝かせる。となりではなは居場所がなくなりそうであった。
「別に好きや嫌いで結婚しなければいいのよ。私の人生を考えて、一緒になってサポートしてくれる人なら誰でもいいわ」
「そ、そんなのおかしいよ!」
まりのが強く非難の声を上げる。しかし京子は気にした様子もない。
「どうしてよ。結婚なんてお互いが一緒に人生を進んでいくためにするものじゃない。なら私は将来偉くなるんだから、相手は私のために支えて努力してくれる人でなきゃいけないのよ。好きとか嫌いとか関係ないの」
「そんなわけないでしょ⁉ 気っ色悪い相手だったらどうするの」
「そんなのさすがに選ぶわけないでしょ。常識の範囲内よ」
ふんとまた鼻を鳴らした。調子が戻って来たみたいで、どうにも背後に力強いオーラが立ち上って見える。
反対にまりのの方は必死さが表に現れだしていた。
「だ、だけど、そうやって選ぶ相手だって、やっぱり好きでなきゃ結婚しないよ」
「そんなことないわ。目的を共に持つ者同士、結婚することだってある」
力強く断言する。なんだか自分に言い聞かせているようにもはなには見えたのだった。
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