第10話

「だいたいね、京子ちゃん。そんな自分だけのことを考えたお勉強部屋にしてたら、人呼べないだけじゃなくて恋人も呼べないじゃない。いつまでたっても彼氏なんてできないよ」

「大きなお世話よ!」

 がばっと顔を上げた。いつもの対立構造になったので元気になったのかもしれない。復活した、とはなは思い、復活しましたわ、とみかこは小さくつぶやいた。

「だいたいねはこっちの台詞よ! 結局それじゃない。まりののやってることはどれもこれも男のことだわ! この部屋だって男連れ込むためのものじゃないの」

 ちょっと言いすぎではないかとはなは思ってみかこを見たが、みかこも困った様子で眉を曲げていた。

 しかし今日のまりのは強気で引きはしない。

「違うもんね。人呼べる部屋のなかに男の子がいるんだもん。男の子のことばかり考えてるんじゃないもん」

「うそいいなさい」

「うそじゃないもん!」

 こちらも再び頬をふくらませた。

「今だってみかこちゃんもはなちゃんも来てくれてるじゃない。京子ちゃんだってそうでしょ⁉」

「それは友達だからでしょ」

「そうだよ。だから親しい人をいれれる部屋なんだから。男の子専用なんてヘンなこと言わないで」

 そう言われ京子はちょっと口ごもったが、それでもやめず続けた。

「それじゃ人呼べる部屋かどうか、関係ないじゃない。親しい人を呼べる部屋じゃない」

「そうだけど、それはいいの。だって最終的に大事なことは恋なんだから!」

 なんだか話がずれて言っているように感じた。はなはまたみかこのほうを向いたが、みかこも首をかしげてだけいる。

「なによ、恋恋ってバカみたい。男って言ってることと一緒でしょ⁉」

「違うよ! そんな下品なもんじゃないんだから!」

 だんだんむきになってまりのが言い返しだした。

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