第6話
「それだけじゃないよ。そうやってきた人のことを考えてないで、自分の仕事部屋のままに人を迎えるなんてさ、相手のことを考えてない失礼な態度だと思うの。そしてそんなことしてる人、きっと仕事は出来ても偉くなれないと思う」
「うっ……!」
これはさすがに思い当たったのか、京子はうなだれてしまった。なんだかかわいそうになったはなは隣まで近寄ると肩を叩いてあげた。
「ふふふ、やっぱり京子ちゃんは自分のことしか考えてないおバカ勉強エリートだったのね」
ぐさぁ、とでも音がしそうな様子で、京子は机に突っ伏してしまった。さすがにはなもどうすることも出来ず沈黙して見ているしかない。
「まりのさん、ちょっと京子さんがかわいそうですわ」
「そうだよ……京子ちゃん、落ち込んでるよ」
仕方ないので背中をさすりながらはなはまりのを見る。
「そうかな。いつも京子ちゃんのほうがわたしにひどいこと言ってると思うけど」
『…………』
それは否定も出来ず二人とも黙ったままだった。
しかし京子はあきらめた様子ではなかった。はなの触れている背中がゆれだす。ちょっと不穏なものを感じて離れた。
と同時に京子は起き上がった。
「甘い、甘いわまりの!」
「なによぅ」
元気になった京子に口を尖らせ身構える。
「まりのの言うことは確かに間違いないわ。そんなに人のことをかまえない人は偉くなれない。その通りよ」
「ならいいじゃない」
唇を尖らせたまま言う。
「けどね、それは偉くなれるようになってから考えればいいのよ。今は何としてもそのための糸口をつかむために全力を尽くすの。そう、勉強よ!」
猛々しく宣言した。
なんとも元気そうなのではなはみかこのもとまで離れることにした。
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