第3話

「そんなの京子ちゃんだけの感想なんだからね。普通の人はこの部屋かわいく思うんだから」

「思わないわよ」

 あきれた様子で言い放つ京子に、まりのは手を広げた。その先にははなとみかこがいる。

「じゃあみかこちゃんとはなちゃんにも聞いてみればわかるよ。この部屋が絶対かわいいって」

「え?」

 思わずはなは声を上げる。今まで傍観者ですまされていたのに、矛先を向けられてしまった。

 そのまままりのはじーっとみかこを見た。みかこは自分が指されているということに、いやでも思い当たたようだ。

「そうですわね。わたくしはまりのさんの部屋かわいらしいと思いますわ」

「ほら!」

 けろっとした顔で衒いなくそう言った。京子は少し不愉快げだったが、なにか口を開く前にまりのが続ける。

「じゃあはなちゃんは?」

「え、えーと、それは……」

 ちらちらと京子の方を見る。少々険しい顔。そしてまりのを見る。期待に満ちた表情をしていた。思わず目をそむけたくなったが、そらし場所もない。どっちともつかず二人の顔色をちらちら眺めながらなんとか言葉を絞りだした。

「か、かわいいか、なぁ……」

 小さく言った。

「ほら‼」

 鬼の首をとったかのような勢いで胸をそらす。口惜し気に京子は歯噛みした。

「二人とも気を使って言ったのよ」

「そんなことないよ!」

 認めたくないらしい京子はとにかくうなづかなかった。それを見るとなんだか悪い気がはなにはしてくるのだが、かといって逆のことを言えばまりのがいやがっただろうと思えるので、どちらにせよ同じに感じられもした。

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