第20話
「さ、さ、そろそろ弟たちも帰ってくるし、そろそろみんなもおうち帰りなよ」
「あら、もうそんな時間ですの?」
みかこは窓の外を見ると夕日がだいぶかげっていた。もう間もなく陽が沈む。
「本当。なんか早かったわね」
「そうだね」
はなとしてはむしろ時間を長く感じたのだが、そう思ったのは自分だけのようだった。
「なんだか今日は大盛り上がりでしたわね」
「そう? みかこがはなの家来てはしゃいでたからじゃない」
「そんなにわたくしはしゃいでませんでしたわよ」
「ううん、みかこちゃんいつもより楽しそうだったよ」
扉へと向かいながら銘々が言う。自分のことはみな棚上げされているようにはなは感じた。
「ほらほら、早くしないと暗くなるよ」
今日は妙にせめられてしまったので、さっさと送り返して一人になりたい。
「はぁ……それにしてもはなさんはわたくしたちが帰った後もご家族と仲良く過ごされるのですね……うらやましいですわ」
「いや、その話はいいから」
またぶり返されてはかなわない。とにかく扉の向こうへと押しやる。
「そうだね。わたし帰ったら一人だよ」
「私もよ」
まりのと京子まで同意する。このまままた収拾がつかなくなると困るので、とにかく三人を押した。
「はいはい、じゃあ今日は返ったらお父さんやお母さんや、みかこちゃんは執事さんやお手伝いさんたちと仲良くね。家族の絆も一歩から。とりあえず今日家に帰ってから始めてみましょう!」
活気よくそう言って押し出した。三人とも部屋をでる。
「うん。そうしてみる」
京子がそう言ったのと同時に部屋から出すことに成功したのだった。
そのまま一階に降り玄関まで送りだす。外へ出ると夕日はもうほとんど沈み、藍色の空が広がっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます